不動産の工法における種類や特徴について解説します
不動産と一口にいっても、その工法は物件によってさまざまです。
工法とは、建物全体の構造について、どのような部材を使用し、どのように組み立てるのかを指す言葉であり、これから不動産を購入する方は触れることになります。
ここからは、不動産の工法における種類や、それぞれの特徴について詳しく解説します。
アウトフレーム工法
アウトフレーム工法は、主にマンションなどの不動産で用いられる工法です。
マンションの住戸を支える構造には、ラーメン構造と壁構造の2種類があります。
ラーメン構造は、柱と梁を剛接合するものであり、壁構造は壁で荷重を持たせるもので、それぞれ一長一短がありますが、ラーメン構造の場合は柱や梁が室内側に出っ張り、デッドスペースを生み出してしまいます。
このような短所を解消するのが、アウトフレーム工法です。
こちらの工法は、柱や梁を住戸の外側に出すことで、住戸の室内には出っ張りがなくなり、部屋を有効に使えるというものです。
柱はバルコニー側と開放廊下側にありますが、バルコニー側に出すケースが一般的です。
浮床工法
浮床工法は、不動産の遮音性を高めるために用いる床の工法の一つです。
一般的には、コンクリートスラブとフローリングの間に、グラスウールやロックウールといった緩衝材を入れる工法を指しています。
床構造体と内装床の間に緩衝材を挟み込むことにより、床の音が直接構造体に伝わらないようにした、いわゆる二重床工法です。
ちなみに、浮床工法以外の二重床工法には、角材を均等に並べた上に床材を乗せる根太床工法や、防振ゴム付きの支持ボルトを入れる置床工法などがありますが、これらの中では、浮床工法がもっとも遮音性が高く、それに伴って建築コストも高くなります。
耐力壁ブレース工法
耐力壁ブレース工法は、2本の鋼鉄製の柱を鋼鉄棒の筋交いでつなぐ工法です。
木造軸組工法の不動産の壁に取り付け、その耐震性能を強化するための工法であり、木造筋交い工法よりも耐震性が高いとされています。
ただし、異なる性質の構造材を組み合わせるため、木材と鋼鉄とを適切に接合すること、鋼鉄を確実に錆止めすることなど、施工にあたっては十分な技術が必要になります。
ちなみに、木造軸組工法とは、在来工法とも呼ばれるもので、鉄筋コンクリート製の布基礎を採用し、土台と布基礎をアンカーボルトで緊結したり、筋交いを入れてプレート等で止付けることにより、軸組全体を安定させたりする工法を指しています。
丸太組工法
丸太組工法は、丸太材などを水平に積み重ね、壁をつくっていく工法です。
一般的な一戸建てやマンションではなく、主にセカンドハウスなどで使用されるログハウスでは、こちらの工法を採用していることが多いです。
丸太組工法は、メンテナンス次第で半永久的な耐久性が期待でき、耐震性や断熱性、遮音性にも優れています。
その一方で、他の木造系工法に比べてコストが高く、工期が長くなりやすかったり、開口部の大きさが制約されやすかったりといったデメリットもあります。
ツーバイフォー工法
ツーバイフォー工法は、アメリカやカナダの住宅建築に用いられていた工法で、日本では枠組壁工法と呼ばれます。
主に使用する木材が、在来木造のように正四角形の断面ではなく、2インチ×4インチの規格になっていることが名称の由来です。
基礎工事の後、一階部分の屋根をつくり、次に四方の壁面を立ち上げ、二階建てではその上に二階の床を張り、同じように壁を立てて屋根を乗せます。
床や壁面づくりでは、在来木造のようなホゾや穴で組み合わせるのではなく、大量の釘を使用するのも特徴です。
また、ツーバイフォー工法は耐震性があり、石膏ボードを使うことから耐火性も良く、広い部屋が取りやすくなるというメリットがあります。
木質系プレハブ工法
木質系プレハブ工法は、床や壁を工場で生産された木質パネルで組み立てる工法です。
壁式構造の一種で、木質パネルの中には断熱材や下地材までが入っているのが特徴です。
木質パネルを接着剤や釘によって強くつなぎ合わせ、壁や床、天井を組み立てていきます。
木質系プレハブ工法は、工場で生産されたパネルを使用するため、建築会社などの力量に影響されることなく、安定して高品質の不動産を建てることができます。
また、木造枠組壁式工法と同じく、地震の横揺れを建物全体に分散させるため、耐震性に優れ、さらに機密性、断熱性、遮音性にも優れています。
ちなみに、木質系プレハブ工法でつくられた不動産は、修理や増改築が容易であり、プレハブ住宅であるため、工期が短いという特徴も持っています。
まとめ
ここまで、不動産の工法における主な種類やそれぞれの特徴について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
今後不動産を購入する方は、前述したいずれかの工法と関わる可能性が高いです。
そこまで構造や工法にこだわりがないという方であっても、これから何年も生活するマイホームを購入するのであれば、それぞれのメリット・デメリットは把握しておかなければいけません。