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相続時に利用すべき空き家の発生を抑えるための特例措置

空き家が生まれることによる犯罪リスク、災害リスクの増加は、長い間深刻な問題となっています。
このような問題を解決すべく設けられているのが、空き家の発生を抑えるための特例措置であり、こちらは相続した建物を解体すれば受けられる税金特例です。
今回はこちらの特例について詳しく解説します。

両親と一緒に住んでいない場合は相続税が高い

両親が亡くなり、相続した空き家は、場合によっては相続税が一切かかりません。
具体的には、同居していた子どもあるいは自宅を所有していない子どもが相続し、住居として使用する場合などに、評価額がガクッと下がるため、基礎控除額の範囲内に収まり、相続税の負担義務がなくなるという仕組みです。
一方、両親と住んでおらず、自身の住居を持つ子どもが相続する場合、数百万円単位で相続税がかかることもあります。
こちらは、一切減額措置がないことが理由です。
このような状況になると、相続人の方は相続税が支払えないことも考えられます。
そのため、相続後に建物を解体売却することにより、税金優遇を受けることをおすすめします。

空き家の発生を抑えるための特例措置とは?

空き家の発生を抑えるための特例措置は、正式名称を“空き家の譲渡所得の3,000万円控除”といいます。
こちらは、空き家となった被相続人の住居を受け継いだ相続人が、建物を解体した後、もしくはリフォームした後に売却したとき、その譲渡所得の金額から3,000万円が差し引かれるという税金特例です。
また、当制度が空き家の発生を抑えられる理由としては、空き家を耐震性の高い建物もしくは更地にしなければ、3,000万円控除が受けられないということが挙げられます。
つまり、当制度を利用する方が増えれば、自然と犯罪リスク、災害リスクの高い建物は減少するということです。

特例を受けるための期間について

こちらの税金特例を受けるためには、空き家もしくは更地の売却期間について、以下の2つの要件をクリアしなければいけません。

・相続発生日から起算して、3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
・特例の適用期間(2023年12月31日)までの売却であること

特例を受けるための手続きについて

こちらの制度は、単に相続した建物を解体し、期間内に売却すれば適用される税金特例ではありません。
特例を受けるためには、以下のステップを踏む必要があります。

①建物所在地の市区町村にて被相続人居住用家屋等確認書の交付申請をする
②住まいの管轄税務署にて確定申告をする
③特例が適用される

特例を受けるために必要な書類について

こちらの税金特例を受ける場合には、前述の被相続人居住用家屋等確認書あわせて、以下の書類を用意する必要があります。

・売買契約書の写し(譲渡日確認)
・以下のいずれか
①電気、水道、またはガスの使用中止日が確認できる書類
②宅建業者が“現況空き家”かつ“取り壊し予定あり”と表示した広告
③その他、要件を満たすことを容易に認めることができる書類
④法務局が作成する家屋取り壊し後の閉鎖事項証明書の写し
⑤更地であることがわかる写真

ちなみに、被相続人が居住家屋に住んでいた場合と、被相続人が介護施設等に入所していた場合とで、必要な書類は少し変わってきます。
具体的には以下の通りです。

・被相続人が居住家屋に住んでいた場合
①被相続人の除票住民票の写し
②相続人の住民票の写し(相続直前から譲渡時までの住所がわかるもの)

・被相続人が介護施設等に入所していた場合
①要介護、要支援認定を受けていたことを証明する書類
②被相続人の除票住民票の写し
③老人ホーム等の名称、所在地、施設の種類が確認できる書類(入所時の契約書など)
④被相続人の住民票の写し(老人ホーム等入所直前から売却時までの住所がわかるもの)
⑤相続人の住民票の写し
⑥電気・水道・またはガスの契約名義および使用中止日が確認できる書類、老人ホーム等が保有する外出・外宿泊の記録、書類家屋を宛先住所とする被相続人宛の郵便物のいずれか

解体費用を安くするための方法

空き家を相続し、建物を解体売却することにより、税金優遇が受けられますが、前述の通り解体費用は売主となる相続人の方が負担しなければいけません。
では、このとき解体費用を抑えるには、どのような工夫をすれば良いのでしょうか?
具体的な方法としては、主に以下が挙げられます。

・残置物を自ら処分しておく
・補助金制度を利用する

相続した空き家には、両親が生前使用していた家具などが残っていることがあります。
こちらは、解体を業者に依頼する際、処理してもらうこともできますが、その場合は費用が高くなりがちであるため、注意しましょう。
できるだけ費用を抑えたいのであれば、これらの処分は相続人の方が自ら行うべきです。
また、全国の各自治体では、空き家解体にかかる費用の補助金制度が用意されています。
具体的には、2~5割ほど工事費用が助成されるケースが多いため、利用しない手はありません。

まとめ

ここまで、相続時に利用すべき、空き家の発生を抑える特例措置について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
空き家の処理は確かに負担が大きいですが、放置して税負担が大きくなったり、売却不可能なほど老朽化したりする方が、よっぽど相続人の方にとって負担となります。
そのため、特に使い道がない場合は、一秒でも早く処分することを心掛けてください。

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