不動産売買・投資

不動産売買における残金支払、引き渡しの流れとポイント

不動産売買契約が成立した後は、住宅ローンの審査が行われ、特に問題なく通過すると、売買代金の残金支払、物件の引き渡しが行われます。
今回は、残金支払と引き渡しの一般的な流れやポイントについて解説しますので、初めて不動産を購入するという方は、ぜひ事前にチェックしてみてください。

残金支払、引き渡しの流れと各ステップのポイント

住宅ローンの審査に通過した後、買主は「やっと物件が手に入る」と安心した気持ちになるかと思います。
しかし、そのような気持ちになるのはまだ早いです。
残金支払や引き渡しの流れを把握しておかなければ、この段階でトラブルに巻き込まれることも当然あります。
一般的な流れについては、以下の通りです。

①不動産の最終確認
②登記申請書類の確認
③住宅ローンの融資実行
④残金、諸費用の支払
⑤引き渡し

①不動産の最終確認

売買契約を結んでから、残金支払、引き渡しが行われるまでには、およそ1ヶ月程度の期間を要します。
買主は、その期間に物件状況等報告書、設備表などをチェックし、内容と現状が合っているかどうかを確認しなければいけません。
物件状況等報告書とは、中古不動産の売買時、売主が買主に対して、目的不動産の状況を説明する書類をいいます。
具体的には、以下のような項目が記載されています。

・新築時の設計図
・増改築、修繕履歴
・アスベスト使用調査の存否
・耐震診断の有無
・住宅性能評価書の状況
・建物瑕疵の存否、可能性の有無
・過去の所有者、利用状況 など

設備表(付帯設備表)とは、売買対象不動産に関する設備の有無、故障や不具合の有無を買主に通知するための書類を指します。
残置するものと撤去するものの認識違いによるトラブルや、故障・不具合を「言った・言わない」のトラブルを防ぐものとして、こちらの書類は欠かせません。

②登記申請書類の確認

残金支払、引き渡しが行われると、不動産の所有権は買主に移ります。
ただし、所有権の移転を第三者に主張するためには、所有権移転登記を行わなければいけません。
その他、住宅ローンを借り入れて不動産を購入する場合、抵当権設定登記を行う必要もあります。
これらの登記申請に必要な書類は、実際残金支払、引き渡しが実行される前に把握しておきましょう。
ちなみに、登記申請には数々の書類が必要ですし、手続きも決して簡単なものではありません。
そのため、買主は司法書士に登記を依頼することを検討しましょう。
司法書士に依頼すれば、手続きに手間取ることはありません。

③住宅ローンの融資実行

住宅ローンで不動産を購入する場合は、残金支払の前に融資が行われます。
もちろん、融資が実行される前に残金支払の期日が来てしまうと、買主は費用を支払うのが困難になるため、スケジュールはきっちり売主と話し合って調整しましょう。

④残金、諸費用の支払

無事に融資が実行された後は、残金とその他の諸費用の支払を行います。
ここでいう残金とは、不動産売買代金の残り分、つまり売買代金から手付金の金額を差し引いたものです。
そして、諸費用には以下のものが当てはまります。

・登記費用
・仲介手数料
・ローン諸経費
・火災保険料
・固定資産税、管理費等の清算金 など

ちなみに、固定資産税、管理費などに関しては、売主に請求される年税額等を、契約書に記載されている起算日を基に、日割りで清算するのが一般的です。
上記の仲介手数料は、不動産売買の仲介を依頼した不動産会社に支払います。

⑤引き渡し

残金、諸費用の支払いがすべて完了すると、ようやく売主から不動産の引き渡しが行われます。
具体的には、売主から物件の鍵、関連書類等が手渡され、いつでも入居できる状況になります。

残金支払、引き渡しに必要なものについて

不動産の残金支払、引き渡しを行う際、買主は金銭だけでなく、以下のようなものも用意しなければいけません。

・印鑑
・実印
・住民票
・住宅用家屋証明書
・印鑑証明書
・金融機関預金通帳、銀行届出印
・本人確認書類

契約不適合責任について

不動産の残金支払、引き渡しが行われる前に、買主は契約不適合責任について理解しておきましょう。
契約不適合責任とは、不動産等の売買契約において、対象物に品質不良や品物違いなどの不備があった場合に、売主が買主に対して負う責任のことをいいます。
具体的には、買主から売主に対して、契約解除や損害賠償、追完請求や代金減額請求を行うことが認められる制度です。
ちなみに、追完請求とは、不動産等の売買において、対象物の引き渡しがなされたものの、引き渡されたものが種類、品質、または数量において、契約の内容に適合しないときに、買主が売主に対し、目的物の修補、代替物の引き渡しなどを求めることをいいます。
ただし、買主が不動産売買契約書を細かくチェックしなかった場合、上記の権利を失ってしまうこともあるため、注意してください。

まとめ

一口に不動産の残金支払、引き渡しの手続きといっても、こちらは数々のステップで構成されています。
そのため、事前に前述の流れやポイント、必要な費用や書類などを押さえておくことは重要です。
「あとは物件を受け取るだけ」と楽観的に考えていると、思いもよらない問題が発生することがあるため、最後まで気を抜いてはいけません。

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