不動産売買における“停止条件付契約”とはどのようなものか?

不動産売買・投資

不動産売買は、特殊な契約方法によって行われることもあります。
今回解説する“停止条件付契約”もそのうちの1つであり、決して一般的な契約方法ではないものの、場合によってはこちらの方法を選択せざるを得ないことも考えられます。
詳しく解説しますので、興味がある方はぜひご覧ください。

停止条件付契約の概要

将来に一定の事実が発生したときに、初めて法律的な効力が生じる旨を特約した売買契約を停止条件付契約といいます。
具体的には、以下のような契約を指しています。

・一定期間内に、その土地に建物を建築することを条件とする土地売買契約
・住宅ローンの融資について、金融機関の審査に通ることを条件とする宅地売買契約
・地主の承諾を条件とする借地権の売買契約 など

ちなみに、条件とされる事実が発生しなかった場合、こちらの売買契約は成立しません。

停止条件付契約が締結されることが多いケース

停止条件付契約は、主に不動産の買い換えを行う際に締結されます。
例えば、現在所有する不動産を3,000万円で売却したい売主がいるとしましょう。
こちらの方は、不動産売却後に中古の新居を購入しようと考えていますが、古い住居の売却金額が3,000万円を下回ってしまうと、住宅ローン残債を完済できません。
つまり、3,000万円で売却できなければ、買い換えを実行できないというわけです。
このようなケースでよく締結されるのが、停止条件付契約です。
不動産の買主は、新居の売主と合意の元、「今所有している不動産(古い住居)が3,000万円で売れた場合、不動産(新居)を購入する」という契約を結びます。

停止条件付契約を結ばないとどうなるのか?

前述のようなケースで、もし停止条件付契約を結ばなかったら、不動産の買い換えを行う方は、大きな経済的損失を負う可能性があります。
先ほどのケースでは、古い住居の売却金額が3,000万円を下回った場合、その物件を売却することはおろか、新居購入のための住宅ローンを利用することもできません。
つまり、新居を購入するための売買契約を、通常の形式で結んでいる場合、その契約は取り消さなければいけないということです。
しかし、不動産売買契約のキャンセルは、そう簡単にできるものではありません。
買い換えに失敗した方は、すでに契約を結んでいる新居の売り手に対し、高額な違約金を支払う必要があります。
一方、停止条件付契約を結んでいれば、もし新居を購入できない状況に陥ったとしても、違約金を負担することなく、新居の売主との契約をなかったことにできます。
よって、確実に売買契約を成立させられるかわからない場合、買主は必ず停止条件付契約を結ぶべきです。

停止条件付契約を結ぶ際の注意点

停止条件付契約を結ぶ売主または買主は、以下の注意点について把握しておきましょう。

・合意について
・条件の内容について
・売買の成否について

合意について

停止条件付契約は、原則当事者間で自由に取り決めることが可能です。
ただし、その条件が不法行為に該当するものであったり、社会通念上で不可能な事実を条件とするものであったりする場合は無効になります。
もちろん、当事者のどちらか一方だけで決定されたもの、つまり合意がないものに関しても当然無効になるため、覚えておきましょう。

条件の内容について

停止条件付契約における条件の内容によっては、それが停止条件に該当するのか、“解除条件”に該当するのかについて、容易に判断できない場合があります。
解除条件とは、将来不確定な事実が発生することによって、契約の効果が消滅する場合の“将来不確定な事実”のことを指しています。
例えば、不動産売買契約において、“物件が完成するまでの間に転勤になったら、契約を失効させる”という条項を入れた場合、“転勤になること”が解除条件に当てはまります。
もし、買主または売主が、条件について停止条件なのか、解除条件なのかがわからない場のであれば、取引を仲介する不動産会社に明確にしてもらいましょう。
双方が納得し、共通の認識を持った上で契約するのが大切です。

売買の成否について

停止条件付契約は、不動産の買い換えを行う方、つまり新居の買主にとっては、非常に有利な契約となります。
しかし、新居の売主にとっては、売買の成否が買主に都合に左右されるため、とても不利な契約と言えます。
よって、実際停止条件付契約における売主となる方は、このことについて留意しておかなければいけません。
もちろん、通常の不動産売買契約であれば、急に買主都合で契約がキャンセルになったとき、違約金を受け取ることができますが、停止条件付契約ではそのような恩恵を受けることもありません。

まとめ

ここまで、停止条件契約という特殊な契約方法の仕組みについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
買主、売主問わず、今後こちらの方法で売買契約を交わす機会が訪れる可能性は十分にあります。
特に、売主は比較的不利な条件で売買契約を結ぶ形になるため、この方法を選択する際には、しっかり先のことを見据えて判断しなければいけません。

タイトルとURLをコピーしました