新型コロナウイルスの感染拡大により、企業の働き方には大きな変化が生じています。
また、企業の中にはコロナ対策に資する事業活動を行っているところもあり、東京都はそのような企業に対する支援制度を設けています。
それが、今回解説する“新型コロナウイルス感染症緊急対策設備投資支援事業”です。

新型コロナウイルス感染症緊急対策設備投資支援事業の概要

当制度は、都内中小企業等(個人事業主も含む)が新型コロナウイルスを含む感染症対策に関する商品を作るために必要な経費について、一部を東京都が負担するというものです。
具体的には、設備投資などにかかる費用(購入費、搬入費、設置費等)の4/5以内の金額が負担されます。
半分以上の金額が支援されるわけですから、とてもありがたい制度ですね。
ちなみに、設備投資などにかかる費用の金額は、100万円~1億円(税抜)までが対象となっています。
つまり、コロナ対策商品を作るため、1億円の設備投資を行った中小企業は、数千万円単位で支援金を受け取れる可能性があるというわけですね。
この制度を利用すれば、都内中小企業等は積極的にコロナ対策商品を作ることができ、それが結果的にコロナの早期収束に繋がることも期待されています。

申請の条件について

当制度は、以下の条件をクリアし、審査に通過した中小企業等のみが利用できます。
利用を検討している場合は、必ず前もって確認しておきましょう。

①新型コロナウイルスを含む感染症対策に関する商品を作るため、新たに設備を導入する都内中小企業または中小企業団体
②2020年4月1日時点で都内に登記簿上の本店や支店があり、都内で2年以上事業を続けている中小企業または中小企業団体

ちなみに、機械設備を郊外に設けようとする企業であっても、都内に本店があれば利用可能です。
ただ、機械の導入は、当制度における支援金が交付されると決定した後に行う必要があります。
また、交付が決定したとしても、その後の機械購入、搬入、設置はスピーディに行わなければいけません。
具体的には、交付決定日の翌月1日から1年6ヶ月までの間と定められています。
交付決定日に関しては、申請した締切日の属する月の翌月末日となっています。

審査について

当制度では、先ほど解説した最低限の申請条件を満たすだけでなく、最終的に審査に通過しなければ支援金を受け取ることができません。
具体的な審査の視点は以下の通りです。

①資格審査
先ほど解説した、当制度の申請条件をクリアしているかどうかが審査されます。

②経理審査
申請中小企業等の財務内容における安全性、収益性、成長性について審査されます。

③事業計画審査(一次審査・二次審査)
申請中小企業等の事業計画における目的との適合性、優秀性、実現性、計画の妥当性、成長・発展性について審査されます。

ちなみに、一次審査を通過した申請中小企業等は、面接による二次審査が行われます。
また、審査結果は、本事業に関する連絡先住所に代表者宛で書面が送付され、審査に通過した場合は、企業名や事業区分、所在地やテーマ名、成果等について公表されることになります。
審査通過までの道は決して楽とはいえませんが、条件を満たし、なおかつ新型コロナウイルスに資すると認められる事業を行っていれば、支援金の対象となる可能性は高いでしょう。

申請受付期間と申請方法について

当制度の申請受付期間は、2020年4月23日~2021年2月10日までとなっています。
ただ、予算が終了した場合は、上記の期間中でも受付が閉め切られる可能性もあるため、条件をクリアしている中小企業等は、なるべく早く申請することをおすすめします。
ちなみに、予算が終了した場合、ホームページに受付終了の旨が表示されます。
そして、申請方法には、“郵送”と“持参”の2種類があり、それまでにネットで事前エントリーをする必要があります。
具体的な申請の流れは以下の通りです。

①ネットでの事前エントリー
②申請方法の選択(郵送or持参)
③申込書類の提出日が案内される
④案内されたメールに返信し、予約した日時に“東京都中小企業振興公社”に訪れる(持参の場合)、締切日までに申込書類を郵送する(郵送の場合)

申込方法として、公社への持参を選択した場合、申し込みをした方から先着順で申込書類の提出希望日受付が行われます。
もちろん、重複した場合、別の日時での持参を依頼されることもありますので、その点は留意しておきましょう。
また、公社への持参を選択する場合、企業のコンサル担当等、外部の方は入場できません。
したがって、必ず事業内容または会社概要を説明できる申込企業の代表者、あるいは役員・社員の方が訪れるようにしてください。

注意点について

当制度を利用するにあたって、注意すべき点はたくさんあります。
例えば、利用を検討する都内中小企業等は、導入するものが“機械装置”あるいは“器具備品”に該当するかどうか、必ず確認しておかなければいけません。
これに関しては、顧問弁護士等に確認しておくと良いでしょう。
ちなみに、当制度のルールでは、ソフトウェアの導入費用に関しても、支援金対象となる機械設備専用かつ必要不可欠にして、一体運用がなされるものに限り対象となっています。
具体的には、組み込みソフトウェアや専用制御ソフトウェアなどですね。
また、当制度はあくまで“コロナ対策商品を作るため、新たに導入する設備の費用”が対象となる支援金です。
したがって、以下の費用は対象外となるため、注意しましょう。

①既存機械設備の改良、修繕、撤去、移設、処分にかかる費用
②中古品の購入費用
③設置場所の整備工事、基礎工事、電気工事等にかかる費用
④割賦、リース、レンタルにかかる費用
⑤消費税、関税、振込手数料、申請中小企業等の従業員に支払う旅費、交通費、保険料など
⑥一般的な市場価格または事業内容に対して著しく高額な経費
⑦通常業務・取引と混同して支払いが行われている経費 など

つまり、コロナ対策商品を作るため、既存の設備を撤去し、そこに新しく機械設備を設置した場合でも、既存の設備を撤去するための費用は中小企業等が負担しなければいけないというわけですね。
また、単純に制度を利用する以前に、新しいコロナ対策商品を作るのであれば、その事業に必要な許認可、あるいは設備の設置場所も必ず確認しておきましょう。
事業が行える体制が整っていなければ、そもそも意味がありませんからね。

支援金交付決定の取り消しについて

当制度の申請中小企業等、設備の購入先事業者、その他事業関係者が以下のいずれかに該当した場合、支援金交付決定の全部または一部が取消になります。

①交付決定または変更承認等の内容と異なる事実が発覚したとき
②偽り、隠蔽その他の不正手段により、支援金の交付を受けたときあるいは受けようとしたとき
③支援金の別の用途に使用したときまたは使用しようとしたとき
④支援対象設備を無断で処分(売却、無断譲渡、貸付など)したとき
⑤都内に基準日時点で2年以上事業を継続している常用の事業所がないと認められるとき
⑥東京都暴力団排除条例に規定する暴力団関係者であると判明したとき
⑦申請要件に該当しない事実が判明したとき など

まとめ

今回解説した“新型コロナウイルス感染症緊急対策設備投資支援事業”は、商品開発をする中小企業等にとっても、世の中にとっても非常に良い制度です。
ただ、利用するにあたって押さえておくポイントは非常に多いため、あらかじめ十分な知識を持った上で利用を検討しましょう。
特に、想定外の理由での審査落選、交付取消などは起こらないように気を付けてください。