固定資産税が支払えないとどうなるのか?
不動産における代表的な税金である固定資産税は、その年の1月1日現在、登記簿に不動産の所有者として登記されている人物が支払います。
しかし、その金額はトータルで考えると決して安くはなく、場合によっては支払いが困難になることもあります。
今回は、固定資産税が支払えなくなるケースについて解説します。
固定資産税の概要
固定資産税は、主に固定資産である土地、建物に対して課せられる地方税で、固定資産のある市区町村に納付します。
納付時期はそのエリアによって異なりますが、一般的には4月、7月、12月、翌年2月の年4回に分けて納付するか、一括で納付します。
また、一戸建ての場合、土地にかかる固定資産税と、建物にかかる固定資産税を合計した金額を支払うことになり、こちらの相場は年間で10~15万円ほどです。
目安として、月々に1万円程度を支払うことになります。
ちなみに、固定資産税を算出するのは、納税先である不動産が所在する市区町村であり、調査し算出された税額の納税通知書が届くため、不動産の所有者が自身で計算をする必要はありません。
固定資産税が支払えなくなる主な理由
固定資産税の支払いが難しくなる主な理由としては、以下のようなことが考えられます。
・老後の収入が少ない
・不動産相続が発生した
定年退職をしてから収入が少なくなり、固定資産税が支払えなくなるというのはよくあるケースです。
こちらは、年金生活になると収入が減ることを想定しておらず、老後資金を用意していなかった場合などに起こります。
また、親や祖父母などの親族が亡くなり、不動産を相続したものの、固定資産税が支払えないというケースもしばしば見られます。
相続によって不動産を所有すると、固定資産税評価額に応じた固定資産税を納めなければいけませんが、相続は予期せず発生することも多く、準備ができていない場合は捻出するのが困難になります。
固定資産税が支払えないとどうなる?
固定資産税の納期を過ぎているにもかかわらず、支払えずにいると、督促状が届きます。
督促状は、納付期限から20日以内に発行され、さらに督促状が届いた後も滞納を続けると、催告書が送付されます。
また、固定資産税を納期までに支払わなかった場合、本来支払うべき税額に対する延滞金が発生します。
延滞金は、納付期限の翌月から発生し、期限から1ヶ月を過ぎると延滞金の割合が高くなります。
具体的には、1ヶ月を過ぎるまでは税額の2.4%ですが、1ヶ月を過ぎた後は8.7%まで跳ね上がります。
それでも支払いを完了させなかった場合は、給与や預金の差し押さえが行われます。
預金が差し押さえられると、差押通知書が預金を預かっている金融機関に送付され、口や地方公共団体が預金を滞納税額に充てることになります。
預金がない場合には給与が差し押さえられ、それでも支払い切れなかった場合は、土地や建物などの不動産が差し押さえられます。
ちなみに、差し押さえられた不動産は公売にかけられることになり、買い手が見つかり次第、売却され現金に換えられます。
もちろん、このような状況になると、不動産の所有者は強制的に退去しなければいけなくなります。
固定資産税が支払えない場合の対処法
固定資産税の支払いが困難だと判断できる場合には、できる限り早めに自治体の役所に赴き、相談する必要があります。
固定資産税などの税金の支払いができない場合には、以下のような対応をしてもらえることがあります。
・減免
・分納
・換価の猶予
減免は、災害被害などの特別な事情がある場合に受けられるもので、分納はまとめて納税するのが難しい場合に、一定の要件をクリアすることで利用できる制度です。
また、換価の猶予は、不動産を差し押さえられた場合や、今後差し押さえの対象となる可能性がある場合に、一定の要件を満たすことで、処分の実行(換価)猶予してもらうことができるというものです。
役所への相談後も支払えない場合
自治体の役所で減免や分納などの対応をしてもらったにもかかわらず、約定通りに支払いができなかった場合や、そもそもこれらの制度を利用できなかった場合などは、不動産を売却して税金を支払い、残った資金の活かし方を考えるという方法もあります。
固定資産税は、あくまで不動産の所有者に課せられる税金であるため、売却してしまえば翌年度からは納税義務が発生しません。
ただし、住宅ローンの借入残高や抵当権の有無などにより、売却方法は変わってきます。
借入残高、抵当権共にある場合、通常の不動産売却ではなく、任意売却を行うことになります。
こちらは、住宅ローンを全額返済せず、銀行に抵当権の抹消同意を得て、市場価格で売却する方法です。
まとめ
ここまで、固定資産税が支払えなくなるケースやその対処法などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
不動産の所有と固定資産税の支払いは必ずセットです。
そのため、現在は支払いに問題がなくても、余裕があるうちから今後のことを考えた立ち回りが必要になります。
また、親などが不動産を所有している場合は、相続によって固定資産税が発生することも把握しておかなければいけません。