公図や登記簿を見る際に知っておきたい用語について
不動産を所有している方、あるいは購入・売却しようとしている方は、公図や登記簿を目にする機会が必ず訪れます。
しかし、記載されている用語の意味が理解できていなければ、今後の何かしらのマイナスな影響が出るかもしれません。
ここからは、公図・登記簿を見る際に知っておきたい用語をいくつか解説します。
公図や登記簿を見る際に知っておくべき用語5選
公図あるいは登記簿を閲覧するにあたって、以下の用語の意味については事前に把握しておくことをおすすめします。
・青地
・赤地
・白地
・共同担保目録
・中間省略登記
青地
登記所に備え付けられた公図において、青く塗られている部分を青地といいます。
青道と呼ばれることもあります。
こちらは、国有地である水路、河川敷を表すもので、水路等の土地の形状を反映した呼び名だと考えられています。
青地は国有地であるため、本来一般の宅地にはならないはずですが、長い年月のうちに水路が廃止され、その部分に住宅が建っているケースも少なくありません。
つまり、今後不動産を購入しようとしている場合、“候補物件に青地が含まれていた”ということも十分起こり得るということです。
もし、このような土地に建っている中古物件を購入するのであれば、青地を国から払い下げてもらう手続きが必要になります。
赤地
公図において、赤く塗られている部分を赤地といいます。
青地と似ていますが、赤地が示すのは国有地の道路であり、実際これらの意味はまったく異なります。
ただし、購入しようとする物件に赤地が含まれているケースがあったり、その際に行わなければいけない手続きがあったりする点に関しては、青地と同じです。
比較的新しい分譲住宅やマンション、分譲地等は、販売される過程で不動産会社の調査が入るため、赤地が敷地内に残っている可能性は低いと言えます。
一方で、先祖代々住んでいるような昔からの土地・物件を購入する場合、一度赤地が含まれているかどうか調査することをおすすめします。
白地
公図の上で、地番が付されていない国有地のことを白地といいます。
白地の多くは道路ですが、中には農地や山林、土手や資材置き場など、市町村が把握・監理していない国有地も存在します。
このような管理されていない国有地である白地は、長年のうちに隣接する民有地に取り込まれ、民間建物の敷地になっていることも考えられます。
そのため、不動産売買では度々、白地の存在が問題になる場合もあります。
また、売買の対象となる土地に白地が含まれている場合には、国有地であることから、青地や赤地と同じように、売買取引の前に市町村に対し、国有地払い下げの手続きを申請しなければいけません。
こちらの白地と青地、赤地は、すべてセットで覚えておくことをおすすめします。
共同担保目録
不動産登記において、1つの債権の担保に対して、複数の不動産を抵当権として登記記録する際に記載される事項を共同担保目録といいます。
抵当権付き物件の”一覧表“とイメージしていただけると、わかりやすいかもしれません。
主に、1つの債権の借金額が高い場合に記載されます。
元々は、抵当権の登記の際、共同担保とする物件を記載したリストを添付していましたが、現在は使用されていません。
“目録”という名称は、こちらのリストが由来というわけです。
また、登記簿謄本の抵当権の登記欄には、共同担保目録番号が記載されていて、それに対応する共同担保目録を確認することができます。
ちなみに、共同担保に関しては、担保価値を保全するために、土地のその上の建物、土地とそれに接続する私道の共有権などを設定するのが通例です。
中間省略登記
例えば、不動産の所有者がAからB、BからCへと移転した場合、本来登記簿には“AからBへの所有権移転登記”、“BからCへの所有権移転登記”が記載されていなければいけません。
しかし、当事者同士の話し合いによって、上記が“AからCへの所有権移転登記”という風に省略されることがあります。
このような登記を中間省略登記といいます。
こちらのケースでは、実際はAとCの間にBという所有者を挟んでいるものの、最終的に“AからCに移った”ということは事実のため、当事者同士がきちんと把握しているのであれば、原則問題はありません。
しかし、法務局は不動産登記に所有権の保存登記、所有権の移転登記などの必要性が発生した場合、その経緯を正確に反映させるべきだとしています。
つまり、何かしらの特別な事情がない限りは、できる限り中間省略登記を用いず、正確な所有権移転の経緯を記録した方が良いということです。
まとめ
ここまで、公図あるいは登記簿で見られる用語を5つほどピックアップして解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
公図や登記簿には、前述したもの以外にも、まだまだ難しい用語等がたくさん記載されています。
もちろん、すべての意味を正しく理解するのは容易ではありませんが、実際不動産取引を行うときなどには、一度各用語の意味や見方を勉強することをおすすめします。