不動産売買・投資

土地に関する難しい用語とその意味について知っておこう

不動産会社の担当者と話をしていて、「今の用語、どういう意味だろう」と疑問に思った経験はありませんか?
その瞬間、タイムリーに質問できれば良いのですが、話が進んでしまうと、なかなか後戻りしてまで聞きづらくなってしまいます。
そこで今回は、知っておくと知識が深まる、土地関係の難しい用語を解説します。

崖線

宅地としては使用できない斜面部分、いわゆる崖地が連なっているところを崖線(がいせん)といいます。
崖線の多くは、緑が連続していて、なおかつ湧き水や豊かな動植物形態が残っている場合が多いです。
近年、傾斜地マンションの建設などにより、崖地の緑等が喪失したり、崖線が分断されたりしていることから、崖線は自然保護・保全の取り組みが必要な場所と位置付けられています。
例えば、東京都では国分寺崖線を保全するために、条例で地区を指定して、建築構造や色彩などの制限を定めた例もあります。
地方だけでなく、都会のほど近くにも崖線は存在しますので、これから不動産売買をする方は、目にする機会もあるかもしれません。

宅地造成

宅地以外の土地(森林、農地など)を宅地等にするため、土地の形質を変えることを宅地造成といいます。
ちなみに、工場跡地など、すでに宅地である土地の形質変更も宅地造成と呼ばれます。
具体的には、傾斜をなくすために切り土や盛り土をしたり、擁壁や排水施設を設置したり、地盤の改良をしたりすることが該当します。
また、以下のような一定規模以上の土地を宅地造成する場合には、都道府県知事から開発許可を受けなければいけません。

・切土の場合、高さ2mを超える崖を生じる工事
・盛土の場合、高さ1mを超える崖を生じる工事
・切土、盛土を同時に行うとき、盛土が1m以下でも切土とあわせて高さが2mを超える崖を生じる工事
・切土、盛土による高低差に関係なく、宅地造成面積が500㎡を超える宅地造成工事

なお、上記でいう崖とは、地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地のことで、硬岩盤(風化の著しいものを除く)以外のものを指しています。

ひな壇

ひな壇と聞くと、皆さんは桃の節句でお雛様を飾る台を想像するでしょう。
土地用語では、階段状になった造成地のことをひな壇と呼んでいます。
名前の通り、お雛様を飾る台のような形が名前の由来で、風通しが良い、高い位置にあるものには眺めが良い、湿気が少ないといった特徴があります。
ただし、ひな壇は丘陵地などを切り開いたものであるため、傾斜が急になっていることが多く、人や自転車が上り下りするのは少し辛い場合があります。
ちなみに、各区画の日当たりも良い南斜面のひな壇は南下がりと呼ばれていて、好条件なことから分譲価格も高めの物件が多いです。

原野商法

地方のほとんど経済的価値のない山林や原野を、「将来必ず値上がりする」など詐欺同然の謳い文句で売りつけることを原野商法といいます。
こちらは、1980~90年代に流行した悪徳商法で、中には実勢価格の数十倍~数百倍の価格で売りつけたり、半ば強制的に契約させたりと、極めて悪質なものもありました。
また、2000年代前半~後半にかけては、過去原野商法の被害に遭った方を対象に、「土地を処分します」といった話を持ちかけ、造成工事費や測量費、広告費などを騙し取るという事案も数多く発生しています。
こちらは第2次原野商法”と呼ばれ、社会的に大きな問題となりました。
ちなみに、たとえ無価値に等しい土地を売りつけられた場合でも、買主が転売利益を目的に購入した場合などは、売主が詐欺行為を行ったとは認められないケースがあります。
第2次原野商法が流行してから、すでに10年以上が経過していますが、今後も同じような悪徳商法が流行しないとは限りませんので、怪しい勧誘等には注意しましょう。

隣地使用権

土地の所有者は、土地の境界またはその近くで、障壁や建物を築造、修繕するために必要な範囲内において、隣地を使用することができる権利を有しています。
こちらの権利を隣地使用権といいます。
隣地に入る場合は、相手の同意が必要であり、承諾がない場合、無断で隣地の中に立ち入ることはできません。
ただし、隣地使用権による請求を受けた者は、その請求が必要な範囲を超えていない場合には、その使用を承諾しなければいけないとされています。
もし、それでも隣人が承諾してくれない場合は、隣地使用権に基づく民事裁判を提起し、隣人の承諾に代わる判決を出してもらった後に、工事をするという流れになります。
ちなみに、隣地使用によって隣人が損害を受けた場合、隣人に補償金を請求されることもあるため、こちらの権利を行使する際には注意が必要です。

まとめ

今回解説した用語は、不動産売買をする方であっても、頻繁に触れる機会のある言葉ではありません。
ただし、冒頭でもお話ししたように、不動産会社の担当者が話す言葉の中には前述の用語が含まれている可能性もありますので、知っておいて損をすることはないでしょう。
もちろん、担当者はわかりやすい言葉で説明してくれますが、備えあれば憂いなしといったところです。
納得して取引を進める上で、知識を蓄えておくことが大切です。

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