底地・借地権

長く土地を借りるなら、買い取りの方がお得?

借地人様は、底地(貸宅地)に住み続ける限り、地主様に地代を支払わなければいけません。
ただ、地主様に交渉し、認めてもらうことができれば、底地(貸宅地)を買い取ることもできます。
では、底地(貸宅地)に長期間住む場合、そのまま地代の支払いを継続するのと買い取りを行うのとでは、一体どっちがお得なのでしょうか?

地代はどれくらいかかるのか?

底地(貸宅地)で地代の支払いを継続すること、買い取りを行うことを比較する前に、まずは借地人様が底地(貸宅地)に住み続ける場合、地代はどれくらいかかるのかについてシミュレーションしてみましょう。
例えば、1坪の土地価格が100万円、40坪、借地権割合60%の土地に住居を構え、生活している借地人様がいるとします。
この場合、地代が1坪につき1,000円だとすると、毎月借地人様が支払う地代は40,000円になります。
また、1年にかかる地代は40,000×12で48万円になりますよね。
旧借地法による借地契約は、30年もしくは20年の長期契約であり、仮に上記の金額で20年底地(貸宅地)に住み続けた場合、地代だけで960万円かかるという計算になります。
非常に大きい金額ですね。
もちろん、地代はいつまでも同じ金額であるとは限りませんので、値上げされた場合はこれ以上の金額になる可能性もあります。

借地人様が支払うのは地代だけではない

借地人様が底地(貸宅地)に住み続けることで発生する費用は、地代だけではありません。
例えば、借地契約更新のタイミングでは、“更新料”が発生します。
金額は借地権価格の5~10%程度になることが多く、最終的には借地人様と地主様の話し合いによって決定されます。
また、借地人様が住居の建て替え・改築をしたり、名義を変えたりする場合は、“承諾料”も支払わなければいけません。
こちらの金額は、木造住宅で更地価格の3~5%程度、鉄筋等の住宅で8~10%程度が相場となっています。
ちなみに、これを支払わず勝手に建て替え等を行うと、借地人様は借地権を失ってしまう可能性があります。

更新料、承諾料はどれくらいかかるのか?

先ほどの地代と同じように、底地(貸宅地)に長期間住み続ける場合、更新料と承諾料はどれくらいかかるのかシミュレーションしてみましょう。
1坪の土地価格100万円、借地権割合60%の40坪の土地の更地価格は4,000万円で、借地権価格は2400万円です。更新料は借地権価格の5~10%が相場となるため、120~240万円かかるという計算になります。
また、この土地で木造住宅の建て替えを行う場合はさらに120~200万円、鉄筋等の住宅の建て替えであれば最高で400万円程度かかるということになります。
これを先ほどの地代と合計すると、960万+120~200万+120~200万となり、借地人様が底地(貸宅地)に住み続ける限りかかる費用は、最高で1,360万円を超えるということになります。
この数字を見る限り、借地人様が底地(貸宅地)に住み続ける場合にかかる費用は、やはり安くないことがわかりますね。

底地(貸宅地)の買い取りをするにはどれくらいかかる?

一方、借地人様が底地(貸宅地)の買い取りを行う場合は、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
今回例として挙げている土地の場合、借地権割合は60%であるため、買い取るのは残りの40%ということになります。
つまり、4,000万の土地の40%を支払えば買い取れるということであり、その金額は1,600万円となります。
底地(貸宅地)に長期間住み続ける場合、かかる費用は最高で1360万円を超えるケースもあることを考えると、買い取りの方がお得に感じますよね。
また、たとえ底地(貸宅地)に長期間住み続ける場合の費用が1,000万弱だったとしても、そこに数百万円を上乗せすれば買い取れるわけですから、そちらを選んだ方が良いかもしれません。

考え方によっては、底地価格に近い1300万円以上の地代や更新料の支払いを続けても、底地(貸宅地)は自分の土地にはならないので、早いうちに底地(貸宅地)を購入しておいた方が、借地人様はお得ということになりますね。

底地(貸宅地)の買い取りをする場合、月々の負担はどうなる?

前述のように、底地(貸宅地)で地代等を払い続けるより、買い取りの方がお得感は強いと言えます。
また、たとえ買い取りの方が少し費用は高くなったとしても、“土地が自分のものになる”というメリットを考えたら、やはり買い取りの方が魅力的でしょう。
もっと言えば、底地(貸宅地)の買い取りをする場合、借地人様は住宅ローンを利用できます。
この点も、買い取りの方がお得なポイントですね。
底地(貸宅地)の買い取りをするための費用を一度に用意しなくても、借入で賄うことができるのです。
ちなみに、近年は非常に金利が低くなっており、30年間年利1.2%で固定されているような住宅ローンを利用できる可能性も決して低くありません。
もし、年利1.2%で返済期間が30年の場合、地代と同様に毎月40,000円を支払う(返済する)だけで、約1,200万円の資金調達ができます。
つまり、頭金数百万円さえ事前に用意できれば、底地(貸宅地)に住み続けるのと同程度の月々負担で、底地(貸宅地)の買い取りができるということですね。

底地(貸宅地)の買い取りをする際の注意点は?

借地人様が底地(貸宅地)の買い取りをする際の注意点として、まずは“売買価格の確認”が挙げられます。
必ずしも、地主様が適正価格で底地(貸宅地)を売ってくれるとは限りません。
中には、相場と大きく乖離している価格を提示する地主様もいます。
これは、借地人様を騙そうとしているわけではなく、単純に地主様が適正価格を把握できていないというようなケースですね。
したがって、借地人様は底地(貸宅地)買い取りの前に周辺エリアの相場、公示価格をチェックし、売買価格が適切なものかどうかを確認しなければいけません。
また、住宅ローンを使用して底地(貸宅地)の買い取りをする場合は、揉め事が起こらないように必ず“測量”をしておきましょう。
底地(貸宅地)の中には、数十年もしくは数百年の間、代々引き継がれているものも多くあり、境界線があいまいになっていることもよくあるため、測量を忘れてはいけません。

底地(貸宅地)の買い取りの段取りについて

借地人様が底地(貸宅地)の買い取りをする場合、一般的には以下のような段取りとなります(住宅ローンを利用する場合)。

①相談
地主様もしくは不動産会社に相談し、底地(貸宅地)を買い取りたいという旨を伝えます。

②売買契約の内容調整
底地(貸宅地)は権利関係の複雑な土地であるため、じっくり時間をかけて売買契約内容の調整を行います。

③測量
測量は、境界線を明確にすることが業務の大半であり、底地(貸宅地)の一部が道路に面している場合は市区町村の道路課、隣接地に関してはその土地の持ち主と協議する必要があります。

④住宅ローンの申し込み
金融機関に住宅ローンの申し込みを行います。

⑤売買代金の決済
住宅ローンに通過したら、融資を受けて底地(貸宅地)の売買代金を支払います。

⑥所有者名義変更
底地(貸宅地)の所有者名義を地主様から借地人様に変更します。

ここまで行えば、借地人様は晴れて底地(貸宅地)を100%自分の所有物にすることができます。
もちろん、自己資金に余裕があるという方は、住宅ローンを利用せずに底地(貸宅地)の買い取りを行うことも可能です。

まとめ

ここまで、底地(貸宅地)に長期間住む借地人様が、そのまま地代の支払いを継続するのと買い取りを行うのとでは、どっちがお得なのかについて解説してきました。
結論としては、底地(貸宅地)の買い取りをした方がお得なケースが多いと言えます。
また、買い取った底地(貸宅地)が将来値上がりすれば、購入費用以上の売却益が手に入る可能性もあるため、今後も住み続けるという借地人様は、ぜひ1度買い取りを検討しましょう。

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