底地・借地権

借地権付きの建物は売却できるのか?

借地権付きの建物とは、土地の所有権について、地主さんが所有したままの状態になっている建物のことをいいます。
では、このような物件は、借地権者の意思で売却することができるのでしょうか?
ここからは、借地権付きの建物の売却に関することをいくつか解説したいと思います。

借地権付きの建物は売却できる?

結論から言うと、借地権付きの建物であっても、売却することはできます。
ただし、このような物件の場合、土地の所有権は地主さんが持っているため、売却するには必ず地主さんの許可を得なければいけません。
また、誰に売却するのかによって、借地権付きの建物の売却は流れが大きく変わります。
第三者に売却する場合は、買主が個人なのか、不動産会社なのかに関係なく、地主さんの承諾が必要です。
このとき、売却にかかる測量費や解体費、譲渡承諾料については、売主の負担になるケースが多いです。
ちなみに、借地権付きの建物の売却は、地主さんに対して行うことも可能です。
こちらはとてもポピュラーなものであり、地主さんにとっては底地の所有だけであったものに借地権が加わり、土地の資産価値が格段にアップするため、買い取ることのメリットは大きいです。
もちろん、すべての地主さんが借地権付きの建物を買い取ってくれるわけではないため、その場合は基本的に、第三者の買主を探すことになります。

借地権付きの建物はどのような買主に売れるのか?

借地権付きの建物は、一般の不動産とは違い制限が設けられているため、売却価格はその土地価格のおよそ6~8割になるケースが多いです。
こちらは、売主にとっては決して喜ばしいことではありませんが、言い方を変えれば、少しでも安く建物を購入したい買主をターゲットにしやすいということになります。
また、借地権付きの建物は、建物のみに固定資産税がかかります。
借地権者は土地の所有者ではないため、土地部分の固定資産税を負担する必要はありません。
そのため、節税をしたいと考えている方も、借地権付きの建物のターゲットにすることができます。

一般的に借地権付きの建物の売却は苦戦しやすい

先ほど、借地権付きの建物には、購入を期待できるターゲットがいるという話をしましたが、やはり一般的には、第三者への売却は苦戦しやすい傾向にあります。
借地権付きの建物は、たとえ買主を見つけて決済をしたとしても、土地自体が地主さんのものであることから、土地の用途が制限されてしまいます。
具体的には、不動産売却後のリフォームや建て替えをする際、地主さんの許可を取らなければいけません。
決して安くない買い物である建物を購入したにもかかわらず、土地や建物の利用方法が制限されてしまうことから、実際借地権付きの建物は、市場での人気がありません。
もちろん、欲しがる人の少ない物件は、普通に売り出してもなかなか買主が現れないため、売却活動の内容には工夫が求められます。

借地権付きの建物における売却のコツ

借地権付きの建物を売却する場合、地主さんとの関係を良好に保つこと、実績のある不動産会社に依頼することの2点がポイントとなります。
前述の通り、借地権付きの建物を売却するには、地主さんの承諾が必要です。
そのため、まずは地主さんとの日頃の付き合いを円滑にし、関係を良好に保つことが重要です。
関係性が良ければ、売却を拒否される可能性は低くなりますし、第三者の買主がなかなか見つからない場合に、地主さんが買い取ってくれることも考えられます。
また、借地権付きの建物を売却するのであれば、借地権付きの建物の売買仲介の実績がある不動産会社に依頼すべきです。
借地権は、売却にあたって独特の知識や取引経験が必要であり、特に地主さんが売却を承諾してくれなかった場合には、交渉まで依頼できる経験豊富な不動産会社が力を発揮してくれます。
ちなみに、借地権付きの建物は、地主さんと協力することで、借地権と底地をあわせて売却することもできます。
借地権や底地を単独で売却すると、価値が低くなり、安価での売却になってしまったり、なかなか買主が現れなかったりしますが、同時に売却できれば、ターゲットの幅は広がりますし、通常の市場価格で売却できる可能性もあります。
借地権と底地を同時に売却する場合、地主さんと借地権者の配分は借地権割合に基づいて算出するケースが一般的です。
ただし、こちらは地主さんも底地を売却したいと思っていることが前提の方法であるため、スムーズに進むとは限りません。
地主さんが売却に協力的ではない場合、市場価格で売却できること、ターゲットが増加することなどをメリットとして伝えることをおすすめします。

まとめ

ここまで、借地権付きの建物の売却に関することを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
借地権付きの建物は、借地権者の所有物であるため、売却すること自体は認められています。
ただし、地主さんの承諾がなく、売却が難航することや、仮に売りに出せたとしても、なかなか買主が見つからないことなどのリスクについては、あらかじめ留意しておかなければいけません。

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