不動産相続時、弁護士に依頼を拒否されてしまうケース
不動産相続は、さまざま専門家の力を借りることによって、スムーズに進むケースがあります。
相続人同士が何らかのトラブルを起こしている場合は、弁護士の力を借りることもあるでしょう。
ただ、100%弁護士に依頼を引き受けてもらえるとは限りません。
ここからは、弁護士に依頼を拒否されるケースを見ていきます。
不動産相続時、弁護士に依頼を拒否される5つのケース
弁護士は、高度な法律の知識を備え、それを活かして人々の権利や利益を守るプロフェッショナルです。
ただ、弁護士に依頼の受任義務はないため、以下のようなケースでは拒否されることも考えられます。
・利益が出ないと判断される場合
・依頼をまっとうできないと判断される場合
・得意な業務ではない場合
・利益相反行為に該当する場合
・依頼者が信頼できないと判断される場合
利益が出ないと判断される場合
弁護士は、当然仕事として依頼者の依頼を引き受けています。
そのため、利益が出ないと判断される場合は依頼を拒否されることも考えられるため、注意しましょう。
具体的には、以下の①の費用が、②の費用を上回ると判断される場合です。
①着手金、書類の作成費、移動費など
②獲得見込み利益(成功報酬):相続不動産の増額分など
依頼をまっとうできないと判断される場合
不動産相続時、弁護士が行う主な業務としては、依頼された相続人の弁護が挙げられます。
しかし、依頼者が圧倒的に不利な状況で、弁護をしきれないと判断される場合、つまり弁護士としての仕事をまっとうできないと判断される場合は、依頼を拒否されることも考えられます。
弁護士は、依頼者の問題を解決した際に利益を得られる仕組み(成功報酬)になっていて、このような状況では、弁護士が利益を得られる可能性が極めて低いからです。
得意な業務ではない場合
弁護士は行政書士などに比べ、取り扱える業務の範囲が広いです。
しかし、中には不動産相続に関する業務を得意としていない弁護士もいます。
この場合は、依頼を拒否されてしまうことも考えられるため、注意しましょう。
これは、依頼者の期待に応えられず、適切な解決に導けないと判断されるからです。
利益相反行為に該当する場合
弁護士法第25条には、“弁護士の利益相反行為を禁止する“という記載があります。
利益相反行為とは、一方の当事者の利益になる行為が、もう一方の当事者の不利益になることを指しています。
わかりやすく言うと、弁護士が相談や依頼を受けた場合には、同じ事件の相手方からの依頼を受けられないということです。
よって、不動産相続における紛争相手が、先に同じ弁護士に依頼している場合、もう一方の依頼者からの依頼は拒否されます。
依頼者が信頼できないと判断される場合
弁護士は依頼を引き受けるにあたって、依頼者との信頼関係をとても重視しています。
そのため、信頼できないと判断された場合、依頼を拒否されることも考えられます。
具体的には、依頼者に以下のような行動があったときに、信頼できないと判断されやすくなります。
・アドバイスを無視した
・連絡を怠った
・明らかに難しい過大な請求をした など
依頼を拒否されないようにするには?
不動産相続時、弁護士に依頼を拒否されないようにするには、以下のような対策を取るべきです。
・相談時に依頼内容について細かく伝えておく
・事前にプロフィールを確認する
・複数の弁護士をピックアップしておく
・冷静に自身の状況を見直す
相談時に依頼内容について細かく伝えておく
弁護士に対して行う事前相談は、無料で引き受けてくれることもあります。
よって、依頼を拒否されないためには、この無料相談の場で、できる限り依頼内容について細かく伝えておくことが大切です。
そうすれば、「絶対に勝てない」と判断されていた依頼内容も、「勝てる」と判断してもらえる可能性があります。
事前にプロフィールを確認する
不動産相続時、弁護士に依頼する際には、あらかじめプロフィールを詳しく確認しておきましょう。
そうすることで、不動産相続に関する業務が苦手な弁護士に当たる可能性は低くなります。
複数の弁護士をピックアップしておく
優秀な弁護士を見つけたとしても、すでに紛争相手から依頼されている場合は、別の弁護士を探さなければいけません。
このとき、また一から探していると時間がかかるため、あらかじめ実績のある弁護士を複数人ピックアップしておきましょう。
冷静に自身の状況を見直す
不動産相続における問題について、自身の思い通りに進めることばかり考えていると、弁護士に過大な請求をしてしまったり、関係性が悪くなったりする可能性が高くなります。
よって、弁護士への依頼時は、過度な感情を抑え、冷静に自身の状況を見直し、意見を伝えるようにしましょう。
まとめ
ここまで、不動産相続時、弁護士に依頼を拒否されてしまうケースについて解説しました。
すべての相続人が、不動産相続時に弁護士の力を借りるとは限りませんが、今回解説した内容については、知っておいて損はないでしょう。
また、一度弁護士に依頼を拒否されたとしても、対策を知っていれば、次はスムーズに依頼できると思います。