底地・借地権

借地権を売る際のチェック項目について

これから借地権を売却しようとする借地人様は、不動産会社のサポートを受けながら、あらゆる項目をチェックしなければいけません。
今回は、買い取り業者が買い手となることを想定して、底地(貸宅地)における借地権を売る際のチェック項目を見ていきましょう。

借地権の種類

まずは、借地権の種類をチェックします。
借地契約は長期契約であるため、借地人様が売却したい借地権の多くは、現在の“借地借家法”ができる前の借地法による“旧法借地権”でしょう。
これは、借地契約を更新し続けることで、場合によっては半永久的に借りられるという特徴を持ったものです。

面積

底地(貸宅地)における借地権を売るのであれば、借地人様は借地の面積もチェックしなければいけません。
これは、土地賃貸借契約書や登記事項証明書に載っているものと相違がないかを確認するために行うものです。
もちろん、相違がある場合はなぜそうなったのかを調べ、正しいものに修正しなければいけません。

一筆の土地かどうか

借地権を売る借地人様は、借地が近隣の住宅も含まれるような一筆の土地なのか、あるいは住宅ごとに分筆された土地なのかもチェックします。
もし、借地が一筆の土地の一部である場合、その状態では売り出す対象となる面積、位置を明らかにできません。
したがって、そのときは地主様と話し合いをし、借地を分筆して一筆の土地にしてもらう必要があったり、分筆をせずとも、借地範囲を明確にするための測量をしてもらう必要があります。

比較的大きい土地かどうか

底地(貸宅地)における借地権を売却する場合、借地人様はその借地が比較的大きいかどうかもチェックしておきましょう。
買い取り業者が買い手となる場合、借地面積が狭すぎると、あまり利益を上げられないことから購入を拒否される可能性もあります。
逆に、宅地としては比較的大きく、分筆によって2つ以上の用に供することができる借地であれば、スムーズに買い取ってもらいやすいでしょう。

測量の有無

測量の有無も、借地権を売る借地人様がチェックすべき項目です。
もし、測量がされていないようであれば、地主様に交渉しなければいけません。
また、測量にはある程度の時間がかかりますし、面積の過不足などが発生すれば協議の期間も必要になるため、早めに確認することをおすすめします。

境界杭の有無

底地(貸宅地)における借地権を売る借地人様は、現地で境界杭の有無もチェックしましょう。
または、境界の目安となるブロック塀や万年塀などの有無や、それらがすべて地主様の持ち物なのか、借地権売却に伴いそれらの扱いはどうなるのかなどを確認します。
ちなみに、ブロック塀や万年塀の持ち主は、隣の土地所有者様や地主様と隣の土地所有者様と共有になっているケースなどがあります。

定着物の有無

底地(貸宅地)における借地権を売却する場合、借地人様は借地内にある定着物についても確認しておきましょう。
定着物とは、植木や移動が困難な庭石などをいい、これらのものがあるかどうかをまずチェックします。
その上で、地主様と話し合いをし、定着物をどう処理するのかについて決定する必要があります。

越境の有無

借地人様は、越境物の有無もチェックする必要があります。
越境とは、一方の土地上の建物や塀や植木のほか、水道課にゃガス管等の埋設管などが、土地の境界を越えて他方の土地にはみ出していることをいいます。
はみ出している部分が地上なのか、地中、空中なのかは問いません。
もし越境があるのなら、なるべく早くその状況を改善しましょう。
ちなみに、借地では地中埋設物(上下水道管、浄化槽など)の越境が発生しているケースが多く見られ、それらを改善するには多額の費用と期間が必要になるため、注意しましょう。

再建築不可ではないか

底地(貸宅地)における借地権を売る場合、借地人様はその借地が再建築不可でないかどうかも確認しましょう。
接道の間口や種類が建築基準法の要件をクリアしていなければ、その借地に建物を再建築することはできません。
そうなると、買い取りを断念する買い取り業者も出てくることが予想されるため、このチェックは重要です。

借地権の内容について

底地(貸宅地)における借地権を売る借地人様は、借地の名義や契約内容などについても、細かくチェックしなければいけません。
具体的には以下のような項目です。

①名義
売却しようとする借地権の名義が、借地人様本人になっているかどうかを確認します。
つまり、土地賃貸借契約書における借主が、借地人様の名前になっているかどうかですね。
もちろん、このとき確認するのは、土地と建物両方の名義です。
ちなみに、貸借権や抵当権等が設定されているかどうかについても、このタイミングでチェックしておくべきです。

②地主様の名義
土地賃貸借契約書では、借地人様の名義だけでなく、地主様の名義も確認しておきます。
具体的には、地代を支払っている地主様と、契約書に記載された地主様が同一人物であるかどうかの確認ですね。
もし異なる場合、知らぬ間に地主様に相続が発生していたり、転貸借が行われていたりすることも考えられるため、不動産会社のサポートを受けながら確認しなければいけません。

③公図、土地登記事項証明書との照合
土地賃貸借契約書をチェックする際には、公図や土地登記事項証明書との照合も欠かせません。
具体的には、公募面積と実測面積が合っているかを見比べたり、借地の部分が明らかにされた図面があるかどうか確認したりします。

④金銭
底地(貸宅地)における借地権関連の金銭には、地代や権利金、保証金などが該当しますが、借地人様はこれらの詳細についても改めて確認しましょう。
滞納している地代はないか、契約更新時期はいつなのか、更新料に関するルールはあるのかなどを前もってチェックしておけば、今後の売却はスムーズになるでしょう。

⑤借地権売却に関するルール
土地賃貸借契約書では、借地権売却に関するルールがないかどうかもチェックすべきです。
借地人様は、借地権売却の際、地主様に許可を得る必要がありますが、その際の申し出には書面を用いるのか、その他の方法を用いるのかについては、借地契約の内容によって異なります。
また、底地(貸宅地)における借地権の売却を許可してもらう場合、借地人様は承諾料を支払わなければいけない場合がありますし、その金額も契約ごとにバラバラです。
したがって、借地権売却に関するルールを確認しておかなければ、借地人様は予想外の高額な費用を支払うことになる可能性もあります。

⑥新しい借地人様における承諾料支払いの有無
借地権を買い取る業者の多くは、借地上の建物を増改築したり、1度取り壊して新しい建物を建てたりすることを考えています。
したがって、現借地人様は、新しい借地人様となる買い取り業者のことを考えて、買い取った業者の増改築や解体に承諾料はかかるのかについても、事前にチェックしておきましょう。
もし承諾料が発生しないのであれば、買い取り業者の多くは借地権の購入を前向きに検討してくれるでしょう。

まとめ

ここまで、借地人様が底地(貸宅地)における借地権を売る際のチェック項目を詳しく解説してきました。
これらの項目をチェックする際は、必ず信頼できる不動産会社の力を借り、できるだけ1つ1つの確認に時間がかからないようにしましょう。
もちろん、借地権売却には地主様の力も必要不可欠であるため、将来の売却を見据え、普段から良好な関係を築いておくことも大切だと言えます。

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