相続

借地権の相続に関する知識を最低限身に付けておこう!

配偶者や子を持つ借地人様は、借地権を相続するという機会が訪れる場合があります。
逆に、親が借地人様だという方は、借地人様から借地権を相続されることが考えられます。
したがって、借地権に関わる方は、そのような場合に備えて、今回解説するような借地権の相続に関する知識を最低限身に付けておく必要があります。

借地権の相続に関する最低限の知識①相続時の許可について

借地人様が亡くなったとき、相続人となる配偶者や子は、地主様の許可を得ずとも、借地権を相続できます。
既存の借地契約書の内容を変更する必要もありません。
相続人となる方は、地主様に対して、「相続により、借地権を引き継ぎました」と伝えればOKです。
ただ、借地上の建物における名義は、相続によって取得した時点で、相続人となる配偶者または子が、自身の名義に変更しなければいけません。
また、借地人様が亡くなったことによる相続であれば、地主様の許可を得る必要はありませんが、これが親ではなく、親戚などからの“遺贈”である場合、相続人となる方は、地主様に許可を得なければならず、その際には承諾料も発生します。

借地権の相続に関する最低限の知識②対抗について

借地人様から借地権を相続した相続人の方でも、借地権を主張することが可能です。
ただ、地主様が土地を第三者に売り、地主様が変更になったときは、2つの対抗要件を持っていないと、借地権を主張することができません。
つまり、対抗要件を持っていなければ、「出ていけ」と言われたときに、その土地から出ていくしかなくなるということです。
ちなみに、2つの対抗要件とは、“建物が借地人様の名義になっていること”、そして“借地の上に建物が建っていること”です。
したがって、借地権を相続した相続人の方は、可能な限り早く建物の名義を自身に変更しなければ、生活を脅かされてしまう可能性もあります。

借地権の相続に関する最低限の知識③借地権がなくなる場合について

相続人の中には、借地人様から借地権を相続したものの、まだ使い道が決まっておらず、とりあえずそのままにするという方も少なくありません。
ただ、借地の上に建っている建物が、火事などで焼失してしまったり、地震や津波などで完全に崩壊してしまったりすると、そこには借地権の対抗要件がないと判断され、借地権はなくなってしまいます。
この場合に、借地権を消滅させないためには、建物がなくなってから2年以内に新しい建物を建て直したり、売却の旨を提示したりする必要があります。
したがって、たとえ使い道が決まっていない借地でも、そのままにしておくと、いつの間にか借地権がなくなっているという状況にもなりかねないため、注意が必要です。

借地権の相続に関する最低限の知識④売却時の評価について

借地権を相続した方の中には、地主様の許可を得た上で、売却しようとする方も少なくありません。
この場合、借地権の種類によって、評価の方法には違いがあるということを覚えておきましょう。
借地権には、主に普通借地権、定期借地権の2種類があります。
普通借地権の場合は、借地権の目的である宅地が権利の付いていない、“自由地”としての価額に、借地権割合を乗じて評価します。
一方、定期借地権の場合、原則課税時期において、借地人様に帰属する経済的利益、またはその存続期間を基準とした、少し複雑な評価方法を用います。

まとめ

ここまで、借地権に関わるすべての方に向けて、借地権の相続に関する最低限の知識について解説してきました。
借地人様の相続人となる方は、これらの知識を事前に知っておくように努力し、また配偶者や子を持つ借地人様は、これらの知識を生前から相続人に伝えておくようにしましょう。
そうすれば、相続時あるいは相続後にトラブルが起こる可能性は低くなります。

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