不動産を共有する人が亡くなったときの持分相続について
共有不動産には、持分に応じた所有権を持つ人物、すなわち不動産を共有する人物が複数人存在します。
今回は、そんな不動産を共有する人物が亡くなったときの持分相続にスポットを当て、さまざまなことを解説したいと思います。
実際に、今現在不動産を共有しているという方は、ぜひ参考にしてください。
不動産を共有する人が亡くなったら、持分は誰が引き継ぐの?
通常の不動産は、所有者が亡くなった場合、基本的に所有者の配偶者や子どもなどの相続人が引き継ぎます。
では、共有不動産において、不動産を共有する人物が亡くなった場合、持分は誰が引き継ぐのでしょうか?
結論から言うと、不動産を共有する人物に相続人がいる場合、通常の不動産相続と同じように、持分はその相続人が引き継ぎます。
例えば、不動産を共有するA氏とB氏がいる共有不動産において、B氏が亡くなった場合は、B氏の相続人に、B氏の持分のみが相続されます。
そのため、A氏とB氏の持分割合が50%ずつだった場合、B氏が亡くなった後は、A氏が50%、B氏の相続人(配偶者や子どもなど)が50%の持分を所有することになります。
ちなみに、亡くなった不動産を共有する人物に相続人がいる場合、他の共有者はその持分の相続に関して、何の権利も得ることができません。
つまり、「共有者だから、持分を少し分けてもらえる」といったようなルールはないということです。
亡くなった不動産を共有する人に相続人がいない場合、持分はどうなる?
では、先ほどのケースとは違い、亡くなった不動産を共有する人物に相続人がいない場合、持分は誰が引き継ぐのでしょうか?
この場合は、亡くなった人物とは別の共有者が、持分を引き継ぐことになります。
これは民法にも定められているルールであり、例えば不動産を共有するA氏とB氏のうち、B氏が亡くなった場合、相続人がいなければ、A氏が持分を引き継きます。
また、上記の場合、A氏がB氏の持分を引き継ぐことによって、100%の持分を所有することになるため、必然的にこの不動産は、共有不動産ではなくなります。
つまり、A氏が不動産の“共有者”から、不動産の“所有者”になるということですね。
ただ、不動産を共有する人物が3人以上いる場合は、この限りではありません。
相続人がいなくても、他の共有者はすぐ持分を引き継げるわけでない
前述の通り、亡くなった不動産を共有する人物に相続人がいない場合、他の共有者は持分を引き継ぐことができます。
ただ、このルールは、すぐに適用されるわけではありません。
亡くなった不動産を共有する人物に相続人がいなくても、相続債権者、受遺者への弁済、または特別縁故者への財産分与をしなければいけないためです。
相続債権者、受遺者が存在せず、特別縁故者への財産分与も行われなかった場合に、初めて他の共有者は、持分を引き継ぐことができます。
そのため、亡くなった不動産を共有する人物の相続人がおらず、持分を他の共有者が引き継ぐ場合は、家庭裁判所に対して、相続財産管理人の選任申し立てを行う必要があります。
ただ、相続財産管理人の選任には、数十万~100万円前後のコストがかかることもあり、申し立てから手続きがすべて終わるまでに、1年前後を要する可能性も高いです。
したがって、共有者に持分を引き継げる可能性があったとしても、実際に引き継ぐまでの道のりは険しいということを理解しておきましょう。
まとめ
ここまで、不動産を共有する人物が亡くなったときの持分相続について解説してきました。
亡くなった不動産を共有する人物に相続人がいる場合は、亡くなった人物の持分のみが相続人に引き継がれます。
ただ、亡くなった共有者に相続人がおらず、なおかつ優先すべき弁済や財産分与もなかった場合には、他の共有者が持分を引き継ぐことになります。
少し複雑ではありますが、不動産を共有する方は、しっかり頭に入れておきましょう。