地主がアパートを建てるのは税金対策に有効な手段なのか?
大きな土地を持つ地主はその土地を空き地のままにしておくと、ただ課税されてしまうだけで終わります。しかし、アパートなどを建てることで家賃収入などを得ることができます。さらにその上、相続税に対する税金対策にもなるのです。
・空き地にアパートを建てるメリットは?
それでは、地主が空き地にアパートを建てるとどういったメリットがあるのでしょうか?
アパートを建てることは、相続税対策となります。まず、アパートを建てることでその土地は更地ではなく、貸家建付地という分類になります。そうなると、その土地はアパートの住人の借地となり借地権が設定され、その分評価額を抑えることになるのです。
また、手元にある現金を建築費用とするため、現金が固定資産税上の評価に変わります。固定資産税として評価される場合は、現金よりも評価額が低いのです。そのため、現金で相続するよりも相続税が安くなります。
具体的にどの程度相続税が安くなるかというと、まず土地の借地権は地域によって定められる割合が異なりますが、平均すると60%くらいであり、アパートの場合はさらに借家権が掛け合わされます。借家権は30%なので、土地の評価額は更地の場合と比較して18%ほど低くすることができます。
また、アパートの建築にかかった費用については現金資産ではなく固定資産となり、固定資産税上の評価に変わるので、評価額は建築費の60%前後となります。こちらにも借家権の30%が減額されるので、評価額からさらに30%が差し引かれ、現金と比較して相続税の対象となる金額はおおよそ42%となるのです。
こうした理由から、地主がアパートを建てることは相続税に対する税金対策として有効です。しかし、それだけではありません。
・固定資産税も軽減される
アパートを建てることで固定資産税が高くなることを心配する人もいるでしょうが、実はアパートを建てると土地にかかる固定資産税は大幅に安くなります。
アパートの敷地となっている土地は、住宅用地となります。住宅用地に対する固定資産税は、戸数×200㎡以下の小規模住宅用地であれば固定資産税評価額は1/6となり、それを超える部分も1/3となるのです。
例えば、10戸のアパートが建てられている土地であれば2,000平方メートルは評価額が1/6、残りの部分も評価額は1/3となるので、よほど土地とアパートの価格がアンバランスでなければ固定資産税そのものも安くなるでしょう。
地主がアパートを建てることは、相続税だけではなく固定資産税に対しても税金対策として有効なのです。
・まとめ
地主は、大きな土地をただ更地にしておくのではなく、アパートを建てると相続税や固定資産税などの税金対策になります。アパートの経営が順調な場合は、生前贈与してしまうとさらに有効でしょう。
ただし、相続人が複数いた場合は遺産の分割などが難しくなることもあります。どう分割するかは、きちんと専門家にも相談してあらかじめ決めておきましょう。