借地権を譲渡する際に価格が下がってしまう原因について

借地権者には、さまざまな理由で借地権を譲渡したい状況が訪れます。
そして借地権者の誰もが、できる限り高い価格で借地権を譲渡したいと考えます。
では借地権を譲渡する際、価格が低下してしまう原因にはどんなことが挙げられるでしょうか?
いくつか紹介しますので、譲渡時の参考にしてください。
借地権の譲渡価格が下がってしまう原因①再契約の期間が迫っている
もし借地権者が譲渡しようと考えている借地権に“再契約料”が設定されている場合で、なおかつ再契約までの期間が迫っている場合、譲渡価格が下がる原因になってしまいます。
買い手の第三者は、借地権の購入費用を支払った直後に、再契約料を支払わなければいけなくなるためです。
再契約までの期間が長い借地権の方が、第三者がすぐに負担しなければいけないコストは少なくなるため、当然そちらの方が譲渡価格は高くなります。
したがって借地権を譲渡したいと考えている借地権者は、再契約までの期間が迫っている場合、再契約が完了するまで譲渡期間をずらすべきでしょう。
すでに手放すことを決めている借地権の再契約料を支払うのは不本意かもしれませんが、その方が結果的に手元に残る利益が多くなるかもしれません。
借地権の譲渡価格が下がってしまう原因②ローンが組めない
“ローンが組めない”ということも、借地権の譲渡価格が下がってしまう原因になり得ます。
地主が借地上の建物における抵当権設定を承諾してくれなかった場合、借地権を譲渡される第三者は住宅ローンを利用することができません。
つまり、キャッシュで購入しなければいけなくなるということです。
キャッシュでしか購入できない借地権となれば、買い手は一気に減ってしまうことが予想され、必然的に譲渡価格が下がる原因となってしまう可能性があります。
借地権の譲渡価格が下がってしまう原因③地主との関係性が良好でない
借地権を譲渡したい借地権者と地主の関係が良好でないということも、譲渡価格が低下する原因になりかねません。
借地権を譲渡する際は、必ず地主との関係を良好に保っておくべきです。
先ほど、地主が抵当権設定の承諾をしてくれない場合、譲渡価格が下がる原因になり得るという話をしました。
借地権者と地主の関係が良好でない場合、承諾してくれない可能性はさらに上がります。
また、そもそも借地権者は地主に許可を得ない限り、借地権を譲渡することができません。
地主が譲渡を許可してくれない場合、借地権者は裁判所に申し立てを行うことで認められるケースもあります。
ただ現借地権者と地主の関係が良好でないままであれば、買い手の第三者にとって不安要素を残してしまうことになり、譲渡価格が下がるかもしれませんので注意が必要です。
そもそも借地権単独ではそれほど高く譲渡できない
借地権の譲渡価格が下がってしまう原因について解説しましたが、そもそも借地権単独での譲渡であれば、それほど高い譲渡価格は見込めません。
したがって高い価格で譲渡したいのであれば、借地権と底地を併せて譲渡することを考えましょう。
もちろん底地は地主が所有している土地のため、譲渡の際に許可を得るのは当然です。
また借地権と底地を併せて譲渡する方が価格は高くなるということを、地主はもちろん理解しています。
かといって地主が両方の売却を許可してくれるとは限らないので、長い期間をかけて慎重に交渉することをおすすめします。
まとめ
借地権の譲渡価格は、さまざまな原因で下がってしまいます。
ただ借地権を譲渡したいと考えている借地権者は、そもそも借地権だけの売却では高い譲渡価格を期待できないことを理解しておきましょう。
そして借地権関係の取引をするにあたって、地主との良好な関係は決してマイナスにはならないということも、肝に銘じておくべきです。