建物を取り壊す際に用いられる主な方法について
老朽化した建物と土地を所有している方などは、一度建物を取り壊し、更地にした後に売却しようと考えている方もいるかと思います。
では、建物は、一体どのような方法で取り壊すのでしょうか?
ここからは、建物を取り壊す際に用いられる主な方法について解説したいと思います。
建物を取り壊す主な方法
建物は、取り壊す業者の手によって、主に以下の方法で取り壊されます。
・分別解体
・手壊し解体
・機械解体
・圧砕機工法
・ブレーカー工法
・ウォータージェット工法
・静的破砕剤工法
それぞれの特徴について見てみましょう。
分別解体
建物を取り壊す際の工事で出る建築資材廃棄物を、種類ごとに細かく分別し、計画的に工事を進めながら、リサイクルしていくという方法です。
以前は取り壊す工事といえば、ショベルカーなどの重機を使い、一気に建物を取り壊していく“ミンチ解体”が主流でしたが、平成14年に建築リサイクル法が施行されてからは、この方法は禁止となり、そこから分別解体が主流になりました。
また、分別解体では、コンクリート、アスファルト、木くずを必ず手作業で分別する必要があり、作業には必ず足場がいるため、手間と日数は比較的かかかりやすい方法だと言えます。
手壊し解体
名前の通り、人の手のみで取り壊しに必要な作業を行うことをいいます。
大型の重機を使用することはありません。
屋根や梁など、建物の基礎となっている部分もすべて手で取り壊すため、比較的安全に作業を進められるという特徴があります。
旗竿地などでは、たびたび用いられる方法です。
しかし、分別解体同様時間や手間はかかりやすく、工期が長くなるというデメリットがあります。
また、シンプルながら実施するには相応の技術が必要なため、現在は手壊し解体に対応していない業者も増加傾向にあります。
機械解体
手壊し解体と重機での解体を組み合わせた方法をいいます。
重機併用手壊し工法とも呼ばれるもので、木造家屋の取り壊しをする際には、もっとも多く用いられます。
建物の中には、築年数が古い木造家屋も多く存在するため、この方法が用いられる可能性が高いです。
また、作業効率は比較的良い方法ですが、重機を併用するため、騒音または粉塵は手壊し解体に比べて発生しやすいです。
圧砕機工法
油圧で作動する爪型の刃先で鉄筋コンクリートを噛み砕くアタッチメント(圧砕機)を油圧ショベルの先端の取り付け、取り壊しを行う方法です。
振動や騒音が比較的少ない上、単独で3階程度の建物を取り壊すことができ、なおかつ効率も良いスタンダードな方法です。
ただし、粉塵や散水が目立つ、強固な作業床が必要になるというデメリットがあります。
ブレーカー工法
SRC造(鉄骨・鉄筋コンクリート造)の家屋、建築物を取り壊す際に用いられる方法です。
ブレーカー工法は、ハンドブレーカーを用いる方法と、大型ブレーカーを用いる方法に分けられます。
ハンドブレーカーはサイズが小さいため、重機が入れないほど狭い土地などでの取り壊し作業に向いています。
一方、大型ブレーカーを用いた方法では、大型の油圧式ブレーカーを取り付けた重機を用いて、コンクリートを削っていきます。
どちらも効率良く作業を進められるものですが、振動や騒音、粉塵が出やすいため、必要に応じて防音・防塵設備を設けることが求められます。
ウォータージェット工法
高圧で水を噴射することにより、コンクリートを切断するという方法です。
特殊なポンプで加圧された超高圧水がカッターの役割を果たすため、効率良くコンクリートを削ることができます。
建物に打撃を与える方法ではないため、振動はほとんど発生しません。
また、建物に余計なダメージを与える心配もなく、安全に作業を進めることが可能です。
さらに、発生した粉塵は水と一緒に回収し、処理を行ってから排水するため、環境への負荷にも配慮されています。
ただ、実施コストは比較的高くなることが多いです。
静的破砕剤工法
建物のコンクリート部分などは粉砕する場合、場所などの都合上、圧砕機または発破がどうしても使用できないことがあります。
このようなケースで用いられるのが、静的破砕剤工法です。
あらかじめコンクリート等に穴を開けておき、そこに生石灰系の膨張剤を重点し、時間経過によって発生する膨張圧を利用して粉砕します。
膨張圧が発生するまでの時間は気温によって異なるため、暑い時期には夏用の膨張剤、寒い時期には冬用の膨張剤が使用されます。
爆破を伴う破壊ではないため、振動や騒音は発生しませんが、反応中には強いアルカリ性を示すため、手や目にこれらの薬剤が付くと危険です。
まとめ
ここまで、建物を取り壊す時に用いられる主な方法を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今後、建物を更地し、売却する際には、いずれかの方法を業者に依頼することになるため、どれが所有する物件に合っているかについては、事前に確認しておきましょう。
ちなみに、費用や工期の長さ、安全性や騒音の大きさなど、何を重視するかによって、適切な方法は変わってきます。