“遊休地”を相続した場合の活用法と主な相談先について
不動産相続と言えば、やはり被相続人の住居を受け継ぐものというイメージが強いです。
しかし、被相続人が複数の土地を所有する場合などは、“遊休地”を相続することも十分にあり得ます。
今回は、遊休地の概要と併せて、受け継いだ場合の活用法とそのときの主な相談先について解説していきます。
遊休地の概要
長い間利用されていない土地のことを“遊休地”といいます。
名前の通り、“遊んでいる土地”、“休んでいる土地”という意味です。
ちなみに、同じような言葉に“遊休土地”がありますが、遊休地はこれのことを指す場合が多いです。
取得した後、2年以上まったく利用していない土地は、遊休土地として都道府県知事から通知を受けます。
また、この通知を受けた場合、土地の利用や処分に関する計画の届出をしなければいけません。
つまり、活用するのか処分するのかを決めなければいけないということです。
遊休地を受け継いだ相続人は、このとき売却を選択することもありますが、基本的には更地のため転用性が高く、活用が選択されるケースも少なくありません。
相続した遊休地の活用法について
では、被相続人から受け継いだ遊休地は、一体どのように活用すれば良いのでしょうか?
主な活用法と、それぞれの活用法に向いている遊休地の特徴を見ていきましょう。
賃貸経営
代表的な活用法としては、やはり賃貸経営が挙げられます。
先ほども触れたように、遊休地は更地であることが多いため、初期費用はかかりやすくなりますが、今後も賃貸需要が著しく下がることは考えにくいため、うまくいけば安定した収入源となるでしょう。
また、賃貸経営をするのに向いている遊休地の特徴は以下の通りです。
・人気のエリアにある遊休地
・駅チカの立地にある遊休地 など
駐車場経営
更地の遊休地において、なるべくコストをかけずに土地活用をしたい場合は、駐車場経営がおすすめです。
決して収益性が高い活用法ではありませんが、青空駐車場であれば整地をして線を引くだけでも開始できますし、何しろ建物を建てないため転用性が高いです。
特に、以下のような特徴を持つ遊休地では、駐車場経営を検討すべきです。
・建物を建てるのが難しい遊休地(再建築不可物件など)
・狭小地、変形地など特殊な遊休地
・商業地などが近くにある遊休地
・車移動が主流になっている立地の遊休地 など
太陽光発電
広大な遊休地を引き継いだという方には、太陽光発電をおすすめします。
ソーラーパネル設置のコストはかかりますが、収入は安定していますし、ランニングコストや管理の負担などはほとんどありません。
以下のような遊休地を受け継いだ方は、ぜひ太陽光発電の実施を検討しましょう。
・広大で日当たりが良い遊休地
・農地、山林など活用しにくい遊休地
・買い手や他の用途が見つからない地方の遊休地 など
遊休地を受け継いだ場合の相談先について
被相続人から遊休地を受け継いだ場合は、まず以下の有識者に相談することを検討しまししょう。
・不動産会社
・リフォーム業者、工務店
・税理士
・司法書士
・役所
不動産会社
遊休地は長期間使用されていない土地であり、なおかついずれの活用法にも適さない場合もあります。
また、そんなときは売却を考えるかと思いますが、その際にはまず不動産会社に相談しましょう。
相続した遊休地を売却したいという旨を伝えれば、買い手探しの心強い味方になってくれます。
リフォーム業者、工務店
受け継いだ遊休地に建物を建築したい場合や、残っている建物を修繕したいという場合は、リフォーム業者や工務店に相談しましょう。
また、これらの業者に相談すれば、法律上建物の新築や建て替えが難しい場合のアドバイスももらえます。
税理士
遊休地の相続では、当然相続税が発生するケースもあります。
また、遊休地を活用する場合にも、さまざまな税務上の問題が発生することがあるため、もし知識が乏しいというのであれば、税理士に相談しましょう。
司法書士
遊休地は住宅とは違い、亡くなる直前まで被相続人によって使用されていたようなものではありませんが、相続することになれば、当然所有者の名義変更をしなければいけません。
そうしなければ、活用にも売却にも支障が出てきます。
また、登記変更手続きの方法がわからない場合、あるいは時間に余裕がない場合は、司法書士に依頼すれば代行してもらえます。
役所
自治体の中には、被相続人から受け継いだ遊休地を活用したい、売却したいという方に向けて、専用の相談窓口を設けているところもあります。
また、不動産に関するルールは各自治体によって異なる部分もあるため、まず役所に相談するのも良いでしょう。
まとめ
ここまで、遊休地を受け継いだ場合の活用法、主な相談先について解説してきました。
一口に遊休地といってもその特徴はさまざまですし、相続人がどのように活用・処理したいのかによって、相続時の正しい選択は変わってきます。
ただ、どの場合にも言えることは、相続人だけの力で物事を進めようとするのではなく、有識者・専門家の力を借りるべきだということです。