収益物件を相続することのメリットやデメリット、注意点
被相続人が副業を行う資産家であったり、賃貸経営で生計を立てていたりした場合、相続人は収益物件を引き継ぐことがあります。
では、通常の居住用不動産ではなく、収益物件を相続することには、一体どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
収益物件を引き継ぐ際に注意したいことと併せて解説します。
収益物件を引き継ぐメリット
まずは、被相続人から収益物件を相続するメリットを見ていきましょう。
具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。
・売却益が得られる
・賃料収入が得られる
・節税に繋がる
売却益が得られる
収益物件は、別の投資家に売却することで現金化できます。
また、通常の不動産の場合、エリアなどによっては売却に苦戦することも考えられますが、収益物件は空室率さえ低ければ、多くの購入希望者が現れることが期待できます。
よって、被相続人が遺した収益物件が満室に近い状態であれば、とりあえず相続して、今後売却するか、オーナーとしての立場を引き継ぐかを判断しましょう。
賃料収入が得られる
相続した収益物件を売却せず、そのままオーナーとしての立場を継承する場合は、当然賃料収入を得ることもできます。
一から収益物件の入居者を付けるのは簡単なことではありませんが、被相続人が多くの入居者付けに成功していれば、相続人の方はアドバンテージがある状態から賃貸経営を始められます。
また、賃貸経営によって得た収入は、そのまま相続人の生活費にしたり、老後資金に回したりすることもできます。
節税に繋がる
被相続人から現金を相続するよりも、収益物件を相続した方が、負担する相続税は安くなります。
これは、現金よりも不動産の方が、相続税評価額が低いことが理由です。
もちろん、被相続人の中には、このことを理解して収益物件を遺してくれている方もいるため、たとえ収益性が高くない物件であっても、まずは相続する方向で事を進めましょう。
収益物件を引き継ぐデメリット
もちろん、収益物件の相続にはデメリットもあります。
・争族発生のリスクが高い
・固定費が毎年発生する
争族発生のリスクが高い
これは収益物件に限ったことではありませんが、不動産を相続する場合、どうしても“争族”が発生するリスクが高くなってしまいます。
特に多いケースが、収益物件の分割方法で揉めるというケースです。
よって、被相続人が収益物件を所有する場合は、生前のうちに相続人同士で集まり、分割方法について協議しておくことをおすすめします。
ちなみに、共有は後々の権利関係が複雑化するため、収益物件の分割方法としてはおすすめできません。
固定費が毎年発生する
これも収益物件に限ったことではありませんが、不動産を相続することになると、毎年固定資産税や都市計画税が発生します。
もちろん、相続してすぐ売却するのであれば、上記税金の負担額は微々たるものですが、売却せずに賃貸経営を続行する場合は何年も支払い続けなければいけません。
これに関しては、考慮するのを忘れる相続人の方も多いため、注意してください。
収益物件を相続する際の注意点
収益物件を相続する方は、以下の点にも注意しなければいけません。
・貸借人への報告について
・賃料について
・ローン残債について
賃借人への報告について
収益物件を相続し、そのまま経営を続行する場合、物件の賃借人には、オーナーが変更になったという旨を報告しなければいけません。
前オーナーが亡くなったことまで報告する必要はありませんが、新しいオーナーがどのような人物なのかは伝えておくべきです。
また、賃料の振込先に関しては、銀行で相続手続きを開始するまでの間、仮の振込先として、新しいオーナー(相続人)名義の口座などを案内しておきましょう。
賃料について
複数の相続人がいる場合は、まず遺産分割協議を行い、誰が収益物件の所有者になるのかを決定します。
また、この協議に時間がかかり、なかなか所有者が決定しない場合、その間も賃借人からの賃料は振り込まれ続けますが、この賃料に関しては、遺産分割協議の対象になりません。
なぜなら、遺産分割協議の対象になるのは、相続開始時点の財産のみだからです。
相続が長引いた場合、その間に振り込まれ続けた賃料に関しては、すべて法定相続人が引き継ぐことになるため、覚えておきましょう。
ローン残債について
相続した収益物件には、ローン残債が残っていることがあります。
被相続人は、アパートローンを利用して収益物件を購入しているケースが多く、この場合は団信に入っていることがほとんどのため、ローン残債を相続人が引き継がなければいけないことはごく稀です。
ただ、団信に加入していない場合はもちろん負担する必要があるため、注意しましょう。
まとめ
ここまで、収益物件の相続に関するメリット・デメリット、注意点について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
収益物件を引き継いだ相続人には、さまざまな選択肢が生まれます。
ただ、通常の不動産相続にはない手続き、悩み、トラブルなどが発生することも多いため、前もってポイントは押さえておかなければいけません。