不動産相続について銀行に相談するメリット・デメリット
不動産相続に関する悩み、疑問を抱えている方は、さまざまな相談先を利用することができます。
では、その際の相談先として銀行を選ぶことのメリット・デメリットには、一体どんなことが挙げられるでしょうか?
ここからは、不動産相続の相談時、銀行が行ってくれるサービスと併せて解説します。
不動産相続の相談時、銀行が行ってくれるサービス
不動産相続に関する豊富な知識を持っているのは、いわゆる“士業”と呼ばれる専門家たちです。
具体的には、以下が挙げられます。
・弁護士
・司法書士
・行政書士
・税理士 など
また、銀行は直接不動産相続の相談に乗ってくれるというよりは、どちらかというと相談者と上記の専門家を繋げてくれるケースが多いです。
つまり、橋渡し役というわけですね。
もちろん、その他には何もしてくれないのかというと、決してそういうわけではありません。
銀行に不動産相続の相談をすることで、以下のようなサービスも行ってくれます。
・法定相続人の調査
・相続不動産の調査
・不動産分割に関する助言
・不動産の名義変更に関する助言
・税金に関する助言 など
銀行が対応していないサービスについて
銀行は、不動産相続の相談に手広く対応してくれたり、専門家を紹介してくれたりする貴重な存在です。
しかし、以下のサービスは行ってくれません。
・不動産登記の代行
・税申告
・調停、裁判の手続き など
これらのサービスは、銀行だけで終わらせることができないため、基本的には銀行から委託された専門家が行うことになります。
不動産相続について銀行に相談するメリット
では、不動産相続に関する悩みや疑問について銀行に相談することには、一体どんなメリットがあるのでしょうか?
具体的には、以下の通りです。
・専門家を探す手間がかからない
・相談できる範囲が広い
・信託に強い
専門家を探す手間がかからない
自分自身で司法書士や税理士などを探す場合は、それぞれ別々に探さなければいけないため、それなりの手間と時間がかかります。
一方、銀行に相談する場合、相談者と不動産相続の専門家を繋げてくれるため、探す手間も時間も少なくすることができます。
つまり、銀行への相談は、不動産相続に関する悩みを解決したくても、なかなか時間が取れない方におすすめだということです。
相談できる範囲が広い
大手の銀行ともなると、取扱商品も多くなります。
また、取扱商品が多い銀行ほど、さまざま分野の知識を有しているため、不動産相続に関して相談できる範囲も広くなります。
例えば、取り扱う保険商品が豊富な銀行であれば、不動産相続と保険の関連性について相談できたり、金融商品が豊富な銀行の場合は、相続不動産の活用法などについての相談ができたりします。
もちろん、前述したように相続人・相続不動産に関する調査も行ってくれるため、銀行の力を借りるだけで、不動産相続はかなりスムーズになるでしょう。
信託に強い
不動産の相続対策の1つに、“信託”が挙げられます。
これは、被相続人が遺言を使用せず、誰に不動産を相続させるのかについて、30年先まで決定できるという制度です。
遺言では、一代先までしか継承者を指定できませんが、信託の場合は孫の代まで指定することも可能です。
また、銀行はこの信託の知識を豊富に有しているため、被相続人の方の相談先としては、非常に適していると言えるでしょう。
不動産相続について銀行に相談するデメリット
一方で、不動産相続について銀行に相談することには、以下のようなデメリットもあります。
・コストがかかる
・書類収集は依頼できない
・商品を勧められる場合がある
コストがかかる
先ほど、銀行に不動産相続の相談をすることのメリットとして、専門家に依頼する手間が省けるということを挙げました。
ただ、この場合、直接各専門家に依頼するケースよりも、コストはかかりやすくなってしまいます。
専門家に支払う報酬と、銀行に支払う費用がかかるわけですからね。
また、銀行の中には、最低報酬が設定されているところもあるため、なるべくコストを抑えたいのであれば、直接専門家を訪ねるべきです。
書類収集は依頼できない
専門家に直接依頼する場合、不動産相続に必要な書類収集を代行してもらえることがあります。
一方、銀行は士業とは違い、書類収集を代行する権利を持っていません。 よって、最終的に専門家に繋げてもらわなければ、銀行に直接書類収集を依頼することはできないのです。
商品を勧められる場合がある
銀行は豊富な商品を取り扱っているため、不動産相続の相談時、どうしても保険や投資商品を勧められることがあります。
よって、あまり営業を断るのが得意ではない方は、相談を見送った方が良いかもしれません。
まとめ
ここまで、不動産相続について銀行に相談するメリット・デメリットを中心に解説してきました。
銀行は単純にお金の入出金をしたり、金融商品を購入したりするだけの場所ではなく、不動産相続の相談に乗ってくれる機関でもあります。
ただ、それなりのデメリットもあるため、相談の際は事前に留意した上で、慎重に判断してください。