生前贈与の際に必要な「贈与契約書」の作成方法
相続トラブルの回避のカギは、事前に話し合うこと。
本人と相続人の間で、理解しておくことは大切ですよね。
しかし、ただ話し合ったという事実だけでは証拠になりません。
証拠として、贈与契約書を作成しておくと間違いはなくなります。
ここでは、贈与契約書の意味や作成方法についてお話ししましょう。
贈与契約書を作成しておく意味
贈与契約書とは、みなさんの持っている資産を、人に贈与する際に作成する書類になります。
最初にもお話ししましたが、贈与するという証拠を残すために大切な書類になるのですが、何のために書類を作成しなければならないのでしょうか?
その理由は、3つあります。
①履行した事実の証明のため
②履行自体を確実にするため
③税務調査があった時に証明できるため
これらの事情は、口約束だけで証明することが難しい内容になっていますよね。
特に、約束したけれども、実際に行動に移してくれないという場合には、有効な証明手段になり得るでしょう。
3つの理由に、納得できる人は多いはずです。
また、「③税務調査があった時に証明できるため」では、贈与税に限らず、相続税の課税を防ぐためにも役立ちます。
資産の状況によっては、生前贈与で対策していたはずなのに、それで対応ができていなかったという事例も少なくありません。
様々なやり取りをしていく上で、確実性を担保するために必要な書類であることが理解できるでしょう。
贈与契約書の注意点や作成ポイントは?
ところで、いざ贈与契約書を作成するといっても、作り方のポイントや注意点を知らなければ、大変なことになってしまいます。
下手をすると、正式な書類として認められない可能性もあります。
適切な形で生前贈与を行うために、作成ポイントや注意点を知っておきましょう。
・作成するにあたりきちんと記載しておく内容
・書面に記載するだけでなく、記載内容の事実があること
・不安な時はどうすればいいか?
上記の内容は、生前贈与を検討している人必見です!
作成するにあたりきちんと記載しておく内容
まずは、作成時に関するポイントになります。
書類を作成する際は、以下の項目をきちんと記載していることで初めて効力が発揮されます。
・贈与者・受贈者それぞれの氏名と住所
・贈与契約日締結や贈与実行のぞれぞれの日付
・贈与する財産の情報(内容や種目、住所、金額、それ以外の情報等)
・贈与する時の方法
記載内容や項目の事例テンプレートもありますが、最低限これらの項目を守っていると大丈夫ですからご安心下さい。
内容面の作成をした後は、書類を2通分用意します。
なぜ2通分なのかというと、書類を作成した贈与者と受け取る側の受贈者のそれぞれが保管する際に必要だからです。
2通分用意するのも、証明の際に必要な手続きになると考えて下さい。
パソコンで作成する時は、署名の部分だけでも手書きで記載するようにしておくと、当人同士で納得した形での契約だという感じが強くしませんか?
書類自体はパソコンで簡単に作成することができますが、大事な部分だけは本人に署名してもらうようにするといいですね。
書面に記載するだけでなく、記載内容の事実があること
実は、書類を作成しただけでは、完全に信用してもらえません。
完璧にするためには、契約内容を実際に行動に移すことが大切になります。
例えば、現金資産500万円を子どもに贈与すると記載した場合は、実際に子どもの口座に対して対象金額を贈与しておかなければなりません。
このように客観的に見た際に、きちんと記載内容通りの行動を行っているか。
このことも、書類が効力を発揮する上で大切なポイントになります。
ですから、「書類を完成させたからもう大丈夫!」、と思うだけでは不十分なのです。
記載内容を事実に変える、このことは贈与契約書の大前提の考え方になりますから、セットだと考えるといいですね。
書類作成で満足してしまう人が多いですが、この点に関しても忘れないようにしましょう。
不安な時はどうすればいいか?
ここまで書類の作成に関するポイントや注意点を見てきました。
しかしながら、当事者同士で作成した書類は、本当に信頼できる物なのかと不安に感じる人もいるでしょう。
専門家に作成を依頼する場合は、第三者が介入することになりますので、公平な形で作成してもらえますよね。
ただ、当事者同士で作成しているとなると、不正をしても気が付かないのでないかと思うでしょう。
そのような時は、公正証書として作成することをオススメします。
公正証書の場合は、第三者である公証人が作成しますから、不正が行われる心配はありませんよね。
もちろん、法律のプロに依頼するにはお金がかかりますが、信頼度は素人が作成するよりも圧倒的に高いでしょう。
書類を作成する時に、どちらの方法が自分にとってベストなのかを考えてみて下さいね。
まとめ
今回は、贈与契約書の作成方法についてお話ししました。
「大した資産を渡すわけでないから、自分は大丈夫だ」と思ってはいけません。
例え少額の資産であっても、生前贈与が行われたという証拠がなければ、後々親族間でトラブルの種になってしまいます。
口約束は、実際に証明する手段がありませんよね。
証拠を持っておくことは、贈与側だけでなく受贈者を守ることに繋がりますので、正確に作成しておきましょう。