相続

相続税の支払いに困った!果たして物納は認められる?

財産の相続をする時は、その価値が一定以上であれば相続税を支払うことになります。
しかし、対象となる財産が現金ではなく、不動産ばかりの場合は相続税を支払うのが難しくなるかもしれません。
その時の選択肢として、物納というのも考えられるのですが、物納はどのような場合に認められるのでしょうか?

相続税の対象は?

財産を相続したからといって、相続税を課されるケースというのは実は少数です。
相続税を支払うことになるのは、どのようなときでしょうか?
その条件について、考えてみましょう。

相続税には、控除というものがあります。
この控除額を超えた財産を相続しない限りは、税金を支払う必要がないのですが、近年では控除額が引き下げられたことでこれまでなら相続税が課せられなかったようなケースであっても、納めなくてはならなくなりました。

法が改正される前の基礎控除額は、5,000万円を基準としてそれに法定相続人1人当たり1,000万円を加えた金額となっていたので、法定相続人が1人であれば6,000万円、5人であれば1億円が基礎控除額となっていました。

しかし、改正後は基本的な控除額が3,000万円、法定相続人1人につき600万円まで引き下げられてしまったので、法定相続人が1人の場合の基礎控除額は3,600万円、5人なら6,000万円と、以前の6割となってしまったのです。

つまり、今後相続税を新たに支払うことになるのは、資産がこの4割の間に含まれる層、ということになります。
例えば、法定相続人が1人しかいない状態で、相続した土地の評価額が5,000万円だった場合には相続税を支払う必要が生じてしまうことになるのです。

ただし、本来の意義としては、富裕層が保有している財産を税金という形でもらい受け、それを税収として一般に分配するためのものです。
そのため、相続税を課せられる割合は4%程度と決して高くはなく、また税収の中で占める割合も1.5%程度でしかありませんでした。

さらに、一般的な家庭が相続税を課せられる可能性があるとすればマイホームに対してとなるのですが、その場合は小規模宅地の特例という減税措置があるので、居住のために相続する場合はその価値を大きく減じて計算することができるので、よほど土地が高い場合などを除いては問題ありません。

問題となるのは、複数の土地を借地としている地主様でしょう。
地主様の所有する土地は、借地となっているので借地人様がいます。
つまり、その土地は簡単に処分することができないのです。

地主様は広い土地を持っていることが多いのですが、だからといってお金持ちとは限りません。
中には、固定資産税の数倍程度の地代しかもらっていないために、大した収入もないような地主様もいるのです。

そのため、地主様の中には相続税を支払うことになった場合でも、そのための現金が用意できない場合があります。
相続税の納付期限は10か月なので、それを過ぎてしまうと滞納してしまうことになってしまいます。

どうしても納められない場合は、収入や生活費から納付可能な金額を算出して、分割で納付できる延納という制度を利用することもできます。
しかし、延納しても全額納付するのが難しい場合には、物納という選択肢も考えられます。

物納とは?

どうしても相続税を納めるのが困難と判断された場合、最後の選択肢として相続した財産をそのまま納付する、物納という選択肢をとることになります。
しかし、最後の手段というだけあって、それが認められるには厳格な条件が定められているので、それをクリアしている必要があるのです。

物納が認められる条件として、まず金銭では延納をしたとしても納付するのが難しく、さらにその金額が限度であること、となっています。
その判断のために、資産状況や相続した財産の内訳、収入状況などを調べられることになります。

また、物納をする場合には優先順位があり、その順位が高い財産がある場合はそれを納付することになるので、自分の好きに選ぶことはできません。
最も優先順位が高いものとしては、国債や地方債、不動産などが当てはまります。

ただし、財産の中には物納の対象にできない財産もあります。
例えば、担保権が設定されている不動産や、権利の帰属について係争中の不動産、境界があいまいな土地などは対象にならないのです。

また、一部の賃借権や入会権などが設定されている土地や、法令違反の建物がある土地や建物、もしくは特殊な管理が必要な建物などが建てられている土地などは、物納劣後財産として優先順位が低く設定されます。

このような物納を希望するのであれば、物納申請期限までに申請書と関係書類を提出しなくてはならず、もしもその提出ができない場合は延長届を提出する必要があります。
申請書を提出してから審査が行われるので、その結果いかんで物納が可能かどうかを判断することになるのです。

また、すぐに売却が可能な財産であれば、売却してから納税したほうがいいこともあります。
特に、有価証券などを物納する場合、その価値は時価ではなく相続税を計算する際の評価額で判断されることになるので、流動性がある有価証券の場合は、時価によっては売却してしまわなくてはいけないこともあるでしょう。

不動産の場合は、売却するとしても買い手が見つからなくては売ることができないので、現金化するまでに時間がかかることが少なくありません。
このような財産ばかりであれば、物納でもよしとされることが多くなります。

物納の注意点

物納の期限というのは、本来の相続税納付期限よりも先になります。
これは、本来は相続税を納めるべき期限を超過してしまっていることになります。
となると、物納を約束していても実際には相続税を延滞している扱いとなるのです

税金を延滞している場合、その税金には延滞税というものが課せられることになり、通常の税金に加算されます。
また、利子税という利息に該当する税金も課せられることになります。

たとえ相続税については物納が認められている場合でも、それに伴う延滞税や利子税については物納ができないので、これは現金で納める必要があります。
そのため、物納が認められたとしてもある程度の現金は必須となるので、まったく現金がない場合は財産を売却することも視野に入れておきましょう。

相続税を支払う方法として、物納は最後の手段となり、他の方法が選べない場合に限り認められるので、あまりあてにしない方が良いでしょう。
そして、物納ができたとしても延滞税や利子税の分だけ多く税金を支払うことになってしまうので、なるべくならこの方法を選ばなくても良いように、不動産をあらかじめ売却しておくなど何らかの対策をしておくことをおすすめします。

特に底地など、処分が難しい不動産を持っている場合はそれで物納したい、と考える人も少なくないのですが、積極的に物納できるわけでもないので、あまり期待しない方が良いでしょう。

まとめ

相続税を支払わなくてはならない時に、どうしても税金を金銭で工面できない場合には、延納という方法もあります。
しかし、延納しても税金を支払い切れないと判断された場合に限り、物納という方法を選ぶこともできます。
物納は、売却していない不動産などの財産をそのまま国へと納付する方法ですが、これは他に方法が無い場合に限り認められる物であり、積極的に選ぶものではないため、なるべく金銭で用意できるように予め備えておきましょう。

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