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一部が損壊している不動産を売却することはできるのか?

不動産売買を行う理由は人それぞれであり、中には自然災害などの影響で一部が損壊してしまったことで、売却に踏み切る方もいます。
では、そのような物件は、果たして売却できるのでしょうか?
詳しく解説しますので、被災に伴う不動産売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

一部が損壊している物件の売却は可能?

結論から言うと、被災などによって一部が損壊している物件でも、売却することはできます。
ただし、通常の物件と同じように売却できるのかと言うと、決してそうではありません。
一部が損壊している物件を売却するためには、買い手に対して被災した物件であることを証明し、なおかつ専門家による査定を基に、土地や建物の安全を証明する必要があります。
では、これらの証明を行うには、一体どのような手続きをすればいいのでしょうか?

一部が損壊している物件を売却する前の手続きについて

一部が損壊している物件を売却する場合、事前に以下のような手続きを実施しなければいけません。

・罹災証明書の取得
・被災証明書の取得
・ホームインスペクション

罹災証明書とは、自然災害によって建物に損壊が見られた場合に、自治体から被害認定されたことを証明するための書類を言います。
つまり、こちらが“被災した物件であることを証明する書類”だということです。
罹災証明書があれば、あらゆる民間支援または公的支援も受けることができるため、被災後には必ず取得しなければいけません。
また、被災証明書は、個人が被災したということを証明するための書類です。
罹災証明書と似ていますが、こちらは建物ではなく、個人の被災を証明するものであるため、まったくの別物です。
ただし、罹災証明書と被災証明書は、どちらも買い手に被災したことを証明するものであるため、セットで取得するものと認識しておきましょう。
そして、ホームインスペクションは、住宅診断士などの専門家によって行われる、第三者的な立場からの住宅診断です。
一部が損壊している物件を売却する前には、ホームインスペクションを活用し、建物の劣化状況、欠陥の有無、修繕すべき箇所や時期といった細かい情報を得た上で、買い手に伝えられる準備をしておかなければいけません。
ちなみに、ホームインスペクションによって発覚した不具合を補修すれば、既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入することができ、後に買主から契約不適合で訴えられた場合でも、資金面の不安はありません。

リフォームをしてから売却するのも有効

被災などによって一部が損壊している物件は、リフォームをすることで、そのままの状態よりも良い条件で売却できる可能性があります。
「被災したのに、そんな費用が捻出できるのか?」と思われる方もいるかもしれませんが、自然災害の被害に遭った場合は、民間や公的機関からの助成を受けられる場合があるため、その費用を充てれば、リフォームできる可能性は十分にあります。
ちなみに、被災時に受けられる支援制度には、以下のようなものが挙げられます。

・災害救助法に基づく住宅の応急修理への支援
・被災者生活再建支援制度による支援
・住宅金融支援機構による災害復興住宅融資 など

簡単に売却できる物件でないことは理解しておこう

一部が損壊した物件は、確かに売却することができますが、売却までの道のりは決して短いものではありません。
被災物件としての証明取得やホームインスペクションには、ある程度の期間が必要ですし、仮に売り出せたとしても、大半の買い手は購入をためらいます。
そのため、あまりにも買い手が付かない状況が続く場合は、建物を残すことを諦め、更地として売却することも視野に入れましょう。
更地として売却すれば、ターゲットの範囲が広がるため、買い手が見つからないという状況を打破できるかもしれません。
また、先ほども解説したように、自然災害の被害にあった場合は、民間や公的機関からの助成・支援を受けられる可能性があるため、それで解体費用はカバーできます。

物件を放置するのはNG

台風や地震などによって自宅が損壊した方の中には、その物件での生活が困難になり、仮設住宅などへの入居を余儀なくされた方もいるかと思います。
しかし、そのような場合であっても、将来の売却を見据えているのであれば、被災した物件を放置してはいけません。
例えば、床上浸水の被害に遭った場合、構造材が水を含んだままの状態になるため、木材の腐朽が進んでしまいます。
また、湿気の多い建物は、全体にカビを発生させたり、シロアリの繁殖を促進させたりすることにもつながります。
このような状況になってしまうと、売却は非常に難しくなってしまうため、多少売却が先延ばしになるとしても、内装材の一部を解体するなどして、建物が含んだ水分を十分に乾燥させる必要があります。

まとめ

ここまで、一部が損壊した物件の売却について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
被災した方の中には、「損壊している物件なんて売れるわけない」と思っている方もいるかと思います。
しかし、何もしていないうちからそのように考えるのは、時期尚早だと言えます。
売却に向けて積極的に行動すれば、そのような物件でも買い手が付く可能性は十分にあります。

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