不動産売買における登記費用と売り手が控除できる経費
不動産売買によって利益を得た場合、その利益の額に応じて税金の額が決定します。
ただ税金の計算では、不動産売買における登記費用と特定の経費を控除することができます。
したがって今回は、不動産売買における登記費用の種類と、売り手が控除できる経費について解説していきたいと思います。
不動産売買における登記費用の種類
不動産売買における登記費用は、買い手が負担するものと売り手が負担するものの2種類に分かれます。
(買い手が負担するもの)
・所有権移転登記の費用
売買によって、土地や建物の所有権が移転したときに行う登記の費用です。
所有権移転登記は、基本的に買い手の責任で行われる登記であり、費用も買い手がすべて負担するケースが一般的です。
(売り手が負担するもの)
・抵当権抹消登記の費用
売り手が住宅ローンを利用していた場合、売却される不動産には抵当権が付いています。
売り手が不動産を売却する際は、権利が一切付いていない状態で売却する義務があるため、この抵当権抹消登記を行う必要があります。
これは売り手が行う登記であり、もちろんその費用も売り手が負担します。
・建物滅失登記の費用
不動産売買の際、売り手が土地上の建物を取り壊した場合に行う登記の費用です。
建物の取り壊しが終わったら、売り手は1ヶ月以内に建物滅失登記をしなければいけません。
もちろん費用は売り手が負担します。
不動産売買において売り手が控除できる経費について
不動産売買における登記費用について知っていただいたところで、次は不動産売買において売り手が控除できる費用について解説します。
控除できる費用は以下の通りです。
・登記費用
先ほど解説した不動産売買において売り手が負担する登記費用は、どちらも控除することができます。
また抵当権抹消登記の場合、登記費用だけでなく建物の取り壊しにかかった費用、建物の損失額も控除できます。
・仲介手数料
不動産売買において、誰も間に入らず、売り手と買い手だけで売買が行われるというケースはごく稀です。
不動産売買は、基本的に不動産仲介業者が間に入って行われるため、仲介手数料は必ずかかる費用と言っていいでしょう。
ただこの費用は、不動産売買における登記費用と同様に、譲渡費用として控除することができます。
・印紙税
不動産売買契約締結時に支払った印紙税のうち、売り手が負担したものに関しては控除することができます。
ちなみに印紙税は、不動産売買契約書に印紙を貼り付けることで納税されます。
・立退料
地主様が貸し出している住居を売却する場合、借地人様に貸し出している住居を明け渡してもらわないといけません。
その際に地主様が借地人様に支払う立退料も控除できます。
・違約金
不動産売買契約を結んだ後、売り手がもっと好条件で売却するために契約を解除する場合、買い手に対して違約金を支払う必要があります。
ただこれは“不動産売買において必要な費用”と認められるため、譲渡費用として控除することができます。
不動産売買における費用を売り手が控除するための条件
不動産売買における登記費用を始め、各費用を売り手が控除するための条件はただ1つです。
それは、各費用の金額がわかる領収書などを用意することです。
実際にかかっている費用であっても、その事実と金額を証明するものがなければ控除はできないため注意しましょう。
まとめ
不動産売買における登記費用の種類、売り手が控除できる費用について解説しました。
不動産売買において売り手が負担する登記費用は2種類あり、どちらも領収書を遺しておけば、譲渡費用として利益から控除することができます。
また不動産売買では、登記費用以外にもさまざまな費用を控除できるため、少しでも税金の額を抑えたいという方は網羅しておきましょう。
利益を手元に残してこそ、不動産売買に成功したと言えます。