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かぼちゃの馬車事件について解説します

「かぼちゃの馬車」事件について聞いたことがあるでしょうか?
最近話題となっているサブリースとシェアハウスに関連した事件ということで、大きな話題となりましたが、この事件は一体どういうものだったのでしょうか?
その内容について、詳しく解説します。

▼本文:

事件の背景は?

そもそも、「かぼちゃの馬車」というのは何のことかわからないという人もいると思うので、まずは事件の背景から解説していきます。
この事件は、スマートデイズという企業によって起こされたものでした。

スマートデイズでは、女性専用のシェアハウスとして「かぼちゃの馬車」という物件を提供していました。
個室には必要設備がついていて、インターネットや光熱費込みの家賃が4万円前後という料金で提供されており、敷金礼金も不要となっています。

主に地方から上京した女性向けに展開されていたのですが、個室の狭さやリビングのような共用スペースが十分ではないなどの問題もあり、実質的には周辺のワンルームよりも高額になることも多かったようです。

このシェアハウスですが、会社員向けの副収入を得る方法としてオーナーを募集し、サブリース契約によって建築されていました。
このサブリース契約が、大きな事件につながったのです。

サブリース契約というのは、会社と不動産のオーナーが契約してオーナーはその物件を建築し、会社が一括で借り上げて管理や運営を担って、賃料から手数料を差し引いた分をオーナーへと支払う、というシステムです。

このサブリースでは、空き室リスクを負うことになるのは会社であり、またオーナーは管理などの手間も必要ないので、初期費用を支払った後は安定した収入を得られるというメリットがあります。

「かぼちゃの馬車」では、この契約において頭金不要で投資が可能となり、30年間の家賃保証という看板を掲げていました。
これがなぜ、失敗につながるのでしょうか?

事件の概要

「かぼちゃの馬車」を管理していたスマートデイズが、2018年1月にオーナーへの賃料支払いが困難となり、経営破綻へとつながったのがこの事件の始まりでした。
多額の負債を抱えていたことがわかり、その総額は60億円ともいわれています。

その後、民事再生法の適用を東京地方裁判所へと申請したものの棄却されたスマートデイズは、破産手続きへと移行します。
そうなると、残されたオーナーが大変なこととなってしまいました。

このサブリース契約では、多くのオーナーがスルガ銀行でローンを借り入れていたのですが、その返済が困難となるオーナーが続出することとなりました。
そのせいで、自己破産、あるいはそれが目前となってしまったのです。

経営破綻となったのは、物件を増やしたものの入居者数がそれに追いついていなかったため、このシェアハウス事業は赤字となっていたせいです。
では、その状況でなぜ物件を増やしていったのでしょうか?

その理由は、建築会社とスルガ銀行が関係しています。
このシェアハウスの建築にあたって、建築会社への発注の際にキックバックを受け取っていたのですが、それが建築費用の約50%にもなっていたのです。
キックバックを受け取るのは違法ではないものの、通常であれば5%未満です。

もちろん、その建築費用はオーナーが負担することになります。
つまり、サブリース契約を結んでオーナーとなった人は、通常の倍額にあたる建築費用を負担させられていたことになります。

このキックバックをシェアハウスの赤字補填に使っていたため、どんどんと建築し続けなくては補填ができず、しかし物件を増やすたびに赤字が増えるという悪循環に陥っていたため、負債総額は膨らんでいき、破綻することとなったのです。

また、そのような物件では、通常なら素人投資家が融資を受けようと思っても、銀行の審査で落とされる可能性が高くなります。
しかし、なぜか多くのオーナーがローンを組むことができました。

まず、スマートデイズの社員によってオーナーの融資審査書類が書き換えられていたことがその理由として挙げられます。
資産や収入、物件の価値などの項目が改ざんされたことで、ローンの支払いが可能なようにしていたのです。

しかし、それだけではありません。

スルガ銀行が、スマートデイズと結託して不正な審査をしていたことも、後ほど明らかになったのです。
通常であれば、審査で落とすべき案件であっても資金に余裕があるという報告をして、その融資を認可していたことが発覚しました。

また、このことに直接関係していたスルガ銀行の横浜東口支店では、個人投資家を対象とした「かぼちゃの馬車」セミナーも開講していて、高金利で頭金なしの融資を推し進めていたことも、事件の規模を拡大させる結果につながったといえるでしょう。

その背景には、スマートデイズが社員に課していたノルマと、スルガ銀行が行員に課していた融資ノルマがどちらも厳しかったことがあります。
債務不履行になる可能性を否定できなくても、無理やり審査を通すような状態が当たり前になっていたのです。

このことが明るみに出たことで、スルガ銀行は倒産しなかったものの、経営陣の退陣と株価の暴落という結果につながりました。
元々は地方銀行の中でも高く評価されていた銀行だっただけに、大きなインパクトを与えることとなっています。

事件を振り返って

この事件では、1社だけではなく建築会社、そして銀行によって個人投資家がターゲットとなった事件です。
このような不正を見抜くことはできるのでしょうか?

個人投資家が、組織ぐるみの不正を見抜くことはかなり難しいでしょう。
特に、今回ターゲットとなったのは投資経験が浅い投資家が中心です。
上手い話には裏があるとはいいますが、銀行まで関係して不正を行っているとはなかなか気づきにくいものです。

この事件から学ぶこととしては、ただ言われたことを鵜呑みにするのではなく、どんなことであってもまずは自分でキャッシュフローの計算などを行い、採算が採れる投資かどうかを判別するべきです。

今回の事件では、事前の説明では十分に利益が出るように話されていたものの、実際には割高の物件をつかまされているので採算は非常に取りづらいものとなっています。
きちんと調べたうえで投資していれば、まず投資することはなかったと考えられます。

今後同様の事件が起こった時に被害者とならないためには、まず自分でその投資の内容を精査するということが重要です。
自分でそのメリットとデメリットを確認して、提示された情報と合っているかどうかを考えてみましょう。

また、その投資を持ちかけているのが企業であれば、その経営状態などもきちんと確認してみましょう。
特に、特定の銀行ばかりを利用しているような案件であれば、今回のような事態につながる可能性は高くなります。

サブリース契約も、メリットばかりが喧伝されていますがデメリットも存在しています。
そのデメリットについても十分に考えてから、投資をするようにして、自衛に努めるようにしましょう。

まとめ

企業が大々的に宣伝している投資が、まさかこのような事件につながっていくとは考えもしなかった、という人は多いでしょう。
特に、今回は銀行も関係している事件であり、セミナーまで行っているのに不正があるとは考えにくく、それだけ優良な投資だと考えてしまってもおかしくはありません。
どんな投資であっても、言われたことを鵜呑みにするのではなく、まずは自分で情報を集めてきちんと精査してから、投資をするべきかどうかを判断するようにしましょう。

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