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抵当権が付いている物件を購入するという選択肢について

もし、自身が購入しようとする中古物件に抵当権が付いている場合、皆さんならどう思いますか?
おそらく、多くの方が「購入しても大丈夫なのか?」と不安を抱くことでしょう。
ここからは、抵当権の概要とあわせて、抵当権付き物件は購入しても良いのかについて解説したいと思います。

抵当権の概要

債務者から返済される住宅ローンが滞ったとき、金融機関が確実に資金回収を行うために所有する権利を抵当権といいます。
こちらは物件に対して付されるもので、抵当権付きの物件を持つ方は、住宅ローンの返済が困難になっても、担保物件を売却して返済分を工面しなければいけません。
ただし、通常通り住宅ローンを返済している分には、当然住宅が急に売られるようなことはなく、物件の持ち主は通常通りの生活を送ることができます。
また、中古物件を購入する際、その物件に抵当権が付いているというケースは少なくありません。
なぜなら、売主が住宅ローンを残したまま売りに出し、引き渡し時に完済することは頻繁にあるからです。

抵当権付き物件は購入しても良いのか?

結論から言うと、抵当権が付いている中古物件を購入すること自体は、特に問題ありません。
ただし、そのような物件を購入するのであれば、買主は必ず以下の3点をチェックする必要があります。

・住宅ローンの返済が完了しているかどうか
・引き渡し時に完済してもらえるかどうか
・売買契約書に停止条件が含まれているかどうか

住宅ローンの返済が完了しているかどうか

抵当権が付いた物件を購入する場合は、まず住宅ローンの返済が完了していることを確認しておきましょう。
抵当権付き物件には、すでに住宅ローンを完済しているにもかかわらず、抵当権が抹消されていないものもあります。
こちらは、抵当権抹消登記をするのが面倒だったり、登記費用を支払うのがもったいないと感じたりする売主が、抹消を放置しているケースが多いです。
つまり、抵当権が付いた物件でも、ローン残債がゼロあれば、購入時のリスクはほとんどないということです。
ちなみに、権利が付いているかどうかは、登記事項証明書を閲覧することで把握できるため、購入を検討するならまずここからチェックしましょう。
また、一度不動産に付されたものは、たとえローン残債がゼロであったとしても、自動的に抹消されることはありません。
そのため、必ず売主に抹消してもらいましょう。
このとき、不動産会社に相談すれば、買主と売主で揉め事が起こることなく、スムーズに抹消される可能性が高いです。

引き渡し時に完済してもらえるかどうか

抵当権の概要で少し触れましたが、仮にローン残債がある物件であっても、引き渡し時に完済してもらえれば、購入しても問題ありません。
また、その際には売主負担で抵当権を抹消してもらうのが一般的です。
ちなみに、抹消されている場合は、すでにローンの返済が完了したことが証明されます。
なぜなら、債権者である金融機関は、返済が終わらない限り、債務者の抵当権抹消を許可しないからです。

売買契約書に停止条件が含まれているかどうか

抵当権の抹消は、基本的に物件の引き渡し日までに行われます。
しかし、万が一抹消されなかったときのために備えるのであれば、買主は必ず売買契約書に停止条件が含まれているかどうか、改めて確認すべきです。
こちらは、特定の条件が成立したときに、契約内容を成立させるというものであり、買主が自身で契約書に盛り込まなければいけません。
例えば、抵当権抹消に関する停止条件は、“売主は所有権を移す前に、抵当権を抹消しなければいけない”という風に記載します。
また、こうすることで、もし引き渡し日に抵当権が抹消されていなかったとしても、買主は売買契約の内容を不成立とすることが可能になります。
後々抹消されていないことがわかると、トラブルの原因になるため、こちらの項目を契約書に含めるのは重要です。

抵当権付き物件を購入することのメリットについて

では、通常の中古物件ではなく、わざわざ抵当権付き物件を購入するメリットには、一体どのようなことが挙げられるのでしょうか?
実は、積極的に抵当権が付いた物件を購入することには、特にこれといったメリットがありません。
取引の当事者同士で話し合い、抵当権が付いたままでの売買が成立した場合、買主は相場より安く中古物件を購入できる可能性はあります。
ただし、他人の抵当権を背負ったまま生活していくというのは、非常にリスクが高いです。
売主のローン返済が滞ってしまうと、買主は自身が所有する不動産を転売に競売にかけられてしまいます。
そのため、買主は最初から抵当権が付いた物件を狙うわけではなく、あくまで気に入った物件に偶然抵当権が設定されていたときに、購入するかどうか検討する程度に留めておきましょう。

まとめ

ここまで、抵当権が付いている物件を購入するという選択肢について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
本記事で学んでいただきたいことは、抵当権付き物件すべてが危険なわけではないということと、最初から抵当権付き物件を狙うのはおすすめできないということです。
また、買主は後々のトラブルを防ぐために、あらゆる確認や工夫をした上で、購入するかどうか判断してください。

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