不動産売買・投資

不動産売買契約書で目にするわかりにくい用語について

不動産売却をするにあたって、知っておきたい用語はたくさんあります。
意味を理解しないまま、売却を進めるわけにはいきません。
今回は、専門用語が多い不動産売買契約書で目にする、特にわかりにくい用語について解説したいと思います。
なるべくわかりやすく解説しますので、イメージだけでも掴んでおきましょう。

停止条件

不動産売買には、「〇〇したら売買する」という条件付きの売買が存在します。
例えば、「他に土地が見つかり購入することができたら、この土地を売買する」というようなケースです。
このような契約を停止条件付売買契約といい、上記のケースにおいては、「他の土地を購入すること」が停止条件になります。
つまり、売買契約が前に進むことを一時的に停止させている条件のことです。
不動産売買初心者の方の中には、“違反したら売買がキャンセルになる条件”と誤認している方も多いため、この機会にきちんと認識しましょう。
ちなみに、将来に一定の事実が発生したとき、法律的な効力が消滅する旨を記載した解除条件付売買契約とも異なります。

手付解除

不動産売買契約を交わす際、売主は買主から手付金を受け取ります。
ただし、何らかの形で売買をキャンセルすることになってしまった場合、売主はその手付金の倍額を買主に支払わなければいけません。
こちらを手付解除といいます。
また、買主側から申し出る場合は、すでに売主に手渡している手付金を放棄、つまり渡したままにすることで手付解除が成立します。
これから不動産売却をする方の中には、“手付金を返せば契約をキャンセルできる制度”と思っている方もいるかもしれません。
しかし、実際売主側から申し出る際は、そのまま返すわけではなく倍額を支払わなければいけないため、そこは必ず押さえておきましょう。

危険負担

不動産売買契約を締結後、引っ越しする前の間に、売主が責任を負わない事由によって、物件を引き渡せなくなった場合に、誰がこのリスクを負担するのかを表したものが危険負担です。
“売主が責任を負わない事由”とは、例えば台風で建物が倒壊したことや、隣家の火事に巻き込まれてしまったことなどが該当します。
民法上は、たとえ売主が物件を引き渡せなくなったとしても、売買契約後であれば、危険負担は買主にあるとされています。
ただし、それではあまりにも買主にとって不利です。
そのため、不動産売買契約書では、前述のような災害が発生した場合、売主が物件を引き渡せる状態にまで修復するか、もしくは買主に契約解除権を与えることが一般的となっています。

ローン特約

ローン特約とは、買主がローンを利用して不動産を購入する場合に効果を発揮する特約をいいます。
融資利用の特約と記載されていることもあります。
こちらは、ローンの審査前に不動産売買契約を結び、その後買主が融資を利用できなかった場合、売主が無条件で契約を解除できるというものです。
お金が用意できなかったにも関わらず、売買契約締結後だからといって、その内容を履行しなければいけないのは、買主にとって酷な話です。
ちなみに、ローン特約によって解約が解除される場合は、手付解除とは違い、買主が手付金を放棄する必要はありません。
なぜなら、融資が利用できなかったことは、買主の都合ではなく、あくまで融資先金融機関の都合だからです。
そのため、売主はすでに買主から受け取っている手付金をそのまま返金し、契約解除へと移ります。

瑕疵担保責任

不動産売買契約の履行において、引き渡された建物や土地が種類、品質に関して契約の内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負うことになる責任を瑕疵担保責任といいます。
例えば、雨漏りやシロアリ被害、腐食や建物の傾き、土壌汚染や振動、騒音、臭気といった不具合がある物件を売却したとき、売主は買主に対して責任を負わなければいけません。
また、ここでいう売主の責任とは、契約解除や損害賠償責任を指していて、隠れた瑕疵のため、契約の目的を遂げることができない場合は、契約解除を選択されることもあります。
ただし、買主が瑕疵を原因とし、契約の目的を達成できない場合の契約解除は、買主が瑕疵を知った日から1年以内にその旨を伝えなければならないとされています。
ちなみに、新築住宅の瑕疵担保責任は、“住宅の品質確保の促進等に関する法律”により、基本構造部分については、完成引き渡し後10年の保証が付いています。
一方、中古住宅の瑕疵担保責任は、売主が不動産会社の場合は引き渡し後2年の保証が義務付けられているものの、売主が個人の場合、特約によって引き渡し後2~3ヶ月と定めるケースが多いです。

まとめ

不動産売買契約書には、これ以外にもさまざまな難しい用語が記載されています。
そのため、もしわからない用語があった場合はその都度確認し、理解した上で契約を進めていかなければいけません。
スルーしてしまうと、「別の用語と勘違いしていた」「意味をきちんと理解していなかった」ということが起こり、それがトラブルの引き金となってしまいます。

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