新型コロナウイルスの影響で経営状況が傾いている企業にとって、毎月のランニングコストの支払いは大きな負担となります。
特に、オフィス等の家賃に関しては、非常に痛い支出となるでしょう。
今回は、家賃の支払いに苦しむ企業に向けて、”家賃支援給付金“という制度について解説したいと思います。

家賃支援給付金の概要

当制度は、コロナの感染拡大をきっかけとした自粛要請等に伴い、大規模な売上の軽減に直面する企業の事業継続をサポートするための制度です。
具体的には、ランニングコストの中でも非常に大きな負担となる家賃、地代の負担を軽減することを目的に、テナント事業者に対して給付金を支給します。
また、給付の仕組みとしては、まず国から民間団体等に業務を委託し、そこから中小企業等に給付金が支払われるようになっています。
冒頭でも触れたように、コロナの影響を多大に受けた企業にとって、家賃を支払うことは決して容易ではありません。
中には、このまま家賃を支払い続けることで、廃業を余儀なくされるような企業もあるでしょう。
したがって、条件をクリアしている企業は必ず利用し、コロナが完全に収束するまでの期間を乗り切りましょう。

給付される金額について

当制度において給付される金額は、申請時の直近の支払い家賃(月額)に基づいて算出される給付額の6ヶ月分で、法人の場合は月上限100万円、個人事業主の場合は月上限50万円までとなっています。
つまり、法人は100万×6ヶ月分で600万円、個人事業主は50万円×6ヶ月で300万円までトータルで支給されるというわけですね。
また、企業等がどれくらいの家賃を毎月支払っているのかによって、給付率も変わってきます。
具体的には以下の通りです。

①法人の場合
 月家賃75万円以下の給付率:2/3(月上限50万円)
 月家賃75~225万円までの給付率:1/3(月上限100万円)
 月家賃225万円以上の給付率:月100万円

②個人事業主の場合
 月家賃37.5万円以下の給付率:2/3(月上限25万円)
 月家賃37.5~112.5万円までの給付率:1/3(月上限50万円)
 月家賃112.5万円以上の給付率:月50万円

つまり、法人の場合は家賃が月225万円、個人事業主の場合は月75万円を超えれば、給付率ではなく上限金額でのサポートが行われるというわけです。

給付金額の例

①直近の支払い月家賃が30万円の法人の場合
直近の月家賃が30万円の法人の場合、給付率は2/3であるため、月20万円が給付されます。
また、トータルの給付額は6ヶ月分の120万円です。

②複数の事業所等を合わせた直近の支払い月家賃が300万円の法人の場合
これは少し特殊なケースですが、複数の事業所等を持つ法人の場合、少し計算は複雑になります。
この場合、直近の支払い月家賃75万円までは、2/3の50万円が給付され、それを超える部分(300万円-75万円=225万円)に関しては、1/3の75万円が給付されます。
また、上記の金額を合計すると125万円になりますが、当制度の法人に対する給付額の上限は月100万円のため、このケースでは月100万円が給付されることになります。
トータルでは、100万円×6で600万円ですね。

③直近の支払い月家賃が30万円の個人事業主の場合
個人事業主は、法人よりも給付率が変わる基準金額が低いです。
ただ、直近の支払い月家賃が30万円の場合は、法人であろうが個人事業主であろうが、給付される金額に違いはありません。
この場合でも、月20万円、トータル120万円が給付されます。

④複数の事業所等を合わせた直近の支払い月家賃が300万円の個人事業主の場合
複数の事業所を持つ個人事業主の直近の支払い月家賃が300万円の場合、まず37.5万円までは、3/2の25万円が給付され、それを超える部分(300万円-37.5万円=262.5万円)は1/3の87.5万円が給付されます。
ただ、個人事業主への給付金額は上限50万円のため、このケースでは月50万円、トータル300万円(50万円×6ヶ月分)が給付されることになります。

対象者について

当制度の対象者は、以下の要件をすべてクリアする企業等です。

①中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業主等のいずれかであること
②令和2年5月~12月において、以下のいずれかに該当すること
 いずれかの1ヶ月の売上高が前年の同じ月に比べて50%以上減少していること
 連続する3ヶ月の売上高が前年の同じ時期に比べて30%以上減少していること

申請方法、必要書類について

当制度は新たに創設されたばかりであり、申請方法や申請書類に関しては、まだ明確にはなっていません。
ただ、メディアの情報によると、申請方法は原則オンラインでのみ行われるようです。
具体的には、6月下旬からのオンライン受付開始を目指しているとされています。
また、必要書類に関しては、売上高が減ったことを証明する書類、あるいは家賃の契約書等を提出することになるでしょう。
主に以下のような書類ですね。

①法人の場合
 確定申告書別表一(収受印が押されているもの、e-Taxの場合は受信通知を添付)
 法人事業概況説明書
 対象となる月の売上台帳
 通帳のコピー
 直近の支払い月家賃がわかるもの(賃貸借契約書、家賃の支払い・引き落としを証明する書類等)

②個人事業主の場合
 確定申告書第一表(収受印が押されているもの、e-Taxの場合は受信通知を添付)
 青色申告決算書(青色申告をしている方のみ)
 対象となる月の売上台帳
 通帳のコピー
 本に確認書類のコピー
 直近の支払い月家賃がわかるもの(賃貸借契約書、家賃の支払い・引き落としを証明する書類等)

ちなみに、当制度は必要書類が比較的多い制度だとされているため、実際企業に対して給付金が行き届くまでには、ある程度時間がかかると予想されています。
おそらく、支払いは7月以降になるのではないでしょうか。
したがって、申請が開始したらすぐに必要書類を用意して申請しないと、“持続化給付金”のように“給付待ち”の期間が長くなってしまうでしょう。

当制度の注意点

すでに実施されている“持続化給付金”では、令和2年1月以降のいずれかの1ヶ月の売上高が、前年同月比で50%以上減少していることが主な給付条件となっていますが、当制度では“5月以降”が基準となっているため、混同しないように注意しましょう。
また、緊急事態宣言の休業要請等で、5月に売上が大きく下がったという企業は多いかと思いますので、まずは昨年5月の売上高と、本年5月の売上高を比較することをおすすめします。
ただ、当制度は、令和2年度第2次補正予算の成立を前提としている、非常に新しい制度です。
したがって、今後細かい給付内容や条件に関しては、変更される可能性もあります。
もっといえば、申請開始は6月下旬を予定しているという話をしましたが、これに関してもあくまで予定に過ぎず、支払い時期がおそらく7月以降になるというのは、完全な予想に過ぎません。
そのため、当制度の情報をいち早くキャッチするためには、国会で補正予算が成立した後、経済産業省のホームページなどをこまめにチェックする必要があります。
もちろん、他の給付・助成・支援制度も併せて活用し、給付が遅れたとしても、事業活動を維持できるような体制を整えておくことも重要です。

まとめ

ここまで、企業のランニングコストの負担軽減を目指す“家賃支援給付金”という制度について解説してきました。
今後も、当制度のような支援制度はいくつか創設されることが予想されますが、どれにも共通していえることは、早めに利用できるかどうか確認するということです。
また、そのためにも、定期的に支援主体のホームページ等を確認する習慣を身に付けましょう。