新型コロナウイルスの感染拡大により、企業における事業のあり方には大きな変化が見られるようになりました。
中でも特筆すべきは、“テレワーク”を導入する企業が飛躍的に増加したことでしょう。
今回は、そんなテレワーク関連の制度である“事業継続緊急対策(テレワーク)助成金”について解説します。

事業継続緊急対策(テレワーク)助成金の概要

当制度は、コロナ感染拡大防止の対策として、緊急時における事業継続の対策としてテレワークを採り入れる都内中堅・中小企業等を対象に、必要な導入費用を支援するという制度です。
具体的には、対象と認められる費用が最大250万円まで支払われます。
テレワークの導入により、企業はオフィスに従業員が集まらないことで“3密”を防ぐことができ、現在はとてもスタンダードな働き方として定着しつつあります。
また、前述のようにテレワークを導入すれば、当制度の対象になる可能性があることから、まだ導入していない企業も積極的に導入を検討すべきだといえます。

利用条件について

当制度の対象となるには、以下の条件をクリアしなければいけません。

①常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社・事業所を設置する中堅・中小企業等であること
②常時雇用する労働者を2名以上、かつ申請日時点6ヶ月以上継続して雇用していること
③都税の未納付がないこと
④過去5年間に重大な法令違反等がないこと
⑤労働関係法令に基づき、適切な賃金の支払い等をしていること
⑥風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律第2条第1項に規定する風俗営業、同条第5項に規定する性風俗関連特殊営業、同条第13項に規定する接客業務受託営業およびこれに類する事業を行っていないこと
⑦東京都暴力団排除条例に規定する暴力団員等、暴力団および法人その他の団体の代表者、役員または使用人その他の従業員もしくは構成員が暴力団員等に該当しないこと
⑧就業規則を作成し、労働基準監督署に届出をしていること(常時雇用する従業員が10名以上の企業等)
⑨当制度を利用または申請した中堅・中小企業等の代表者と、新たに対象者になろうとする中堅・中小企業等の代表者が同一でないこと
⑩都が実施する“2020TDM推進プロジェクト”に参加していること

2020TDM推進プロジェクトとは?

東京2020オリンピック開催時の安全・円滑な輸送サービスの提供と、都市活動や経済活動の安定との両立を図ることを目的に、東京都、内閣官房、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が事務局となり、大会時の交通混雑緩和を目指す取り組みを“2020TDM推進プロジェクト”といいます。
企業は当プロジェクトに参加することで、大会情報をいち早く知ることができ、なおかつ2020アクションプラン策定のための個別コンサルティングを無料で受けことができます。
また、参加するには、“労働関係法令違反を行っていない”、“反社会的勢力との関わりがない”、“業務停止命令や行政処分などを受けていない”といった条件をクリアする必要があります。
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金を利用するには、当プロジェクトへの参加が必須のため、必ずチェックしておきましょう。

申請の流れについて

当制度の申請期間は、2020年3月6日~2020年7月31日までです。
当然、申請は1事業者につき1回限りとなっています。
また、支援金振込までの大まかな流れは以下の通りです。

①支給申請書類の準備・作成
必要書類は、“事業計画書兼支給申請書”、“テレワークを活用した事業継続および従業員の安全確保にかかる計画”、“誓約書”、“その他助成事業に係る書類”の4つです。
ちなみに、対象事業者であることを確認するための書類として、“雇用保険被保険者資格取得等確認通知書”、“就業規則一式”、“会社案内または会社概要”、“商業・法人登記簿謄本”、“印鑑登録証明書”、“法人都民税・法人事業税の納税証明”、“2020TDM推進プロジェクトへの参加に関する資料”も用意しなければいけません。

②申請書類の提出(郵送)
③審査、支給決定通知
④助成事業の実施完了(2020年9月30日までに完了)
⑤実績報告書類の作成
⑥実績報告書および他に定める書類の提出(郵送)
⑦審査、助成額の確定通知
⑧支援金請求書兼口座振替依頼書の提出
⑨支援金の振込

対象となる費用、対象外となる費用について

当制度の対象となる費用は、テレワークの導入に必要な費用です。
具体的には、以下のような費用ですね。

①パソコン、タブレット等の購入費
②機器の設置、設定費
③保守委託等の業務手数料
④導入機器等の導入時の運用サポート費
⑤機器のリース料
⑥クラウドサービス等の利用料

逆に、以下のような費用は、テレワーク導入に必要な費用とは認められず、支援金の対象外となってしまうため、注意しましょう。

①消耗品費
消耗品費のうち、支援金の対象となる機器等に記載のない費用、税込単価1,000円未満のもの、税込単価10万円以上のもの、自社製品、最低限の必要数を超える部分、中古物品にかかるものなどは支援金の対象外となります。

②購入費
購入費も、自社製品や最低限の必要数を超える部分、中古物品にかかるものなどは対象になりません。

③委託費
委託費のうち、工事に関するもの、業務の再委託費などは対象外です。

このほか、賃借料や使用料に関しても、募集要項に記載された支援対象費用の対象となる機器等に記載のないものに関しては、対象とならないため注意しましょう。

注意点について

当制度では、提出書類の不足や不備があったり、支援金対象外の機器等を申請したりするケースが多く見られます。
特に不足や不備が多い書類、記入間違いが多い様式、間違えて申請しやすい対象外の機器等は以下の通りです。

①特に不足や不備が多い書類
 商業・法人登記簿謄本
登記上の本店所在地と支援金対象となる事業所の場所が異なる場合、その他支援金対象となる所在地で現に事業を営んでいることがわかる書類を併せて提出しなければいけませんが、これを忘れるケースは非常に多いです。

 法人都民税・法人事業税の納税証明書
納税証明書(国税)や、都税の領収書の写しを間違って提出するケースが多いです。

②記入間違いが多い様式
 事業計画書兼支給申請書
“テレワークの環境および導入機器・ツール”と“経費内訳兼助成金額計算書”の内容が一致していないケース、“助成対象経費(税抜)”を税込で記載しているケースなどはとても多いです。

③間違えて申請しやすい対象外の機器等
 税込単価10万円以上のパソコン
税込単価10万円以上の機器等にかかる費用は、支援金の対象にはなりません。

 タッチペン、パソコン・スマホカバー、充電器、モニタースタンド、プロジェクター、USBメモリ等
これらはテレワーク導入に伴い、購入する可能性のある機器等ですが、募集要項が示す支援金の対象となる機器等には該当しません。

 送料
送料は間接経費のため、支援金の対象にはなりません。

 バックアップ用機器
バックアップ用機器は冗長化にあたるため、支援金の対象外になります。

 リモートアクセス先となる社内に設置するパソコン
支援金の対象となるのは、あくまでテレワーク従事者側が社外で利用する機器等です。

まとめ

ここまで、中堅・中小企業等におけるコロナ対策の1つとして、“事業継続緊急対策(テレワーク)助成金”について解説してきました。
利用条件や支援金の対象となる費用には、とても細かいルールが定められている制度ですが、テレワークを導入する企業はぜひ利用しましょう。
申請の期限まではまだ1ヶ月以上あるため、十分今からでも間に合います。