新型コロナウイルスの感染拡大により、数々の中小企業がマイナスの影響を受けています。
また、コロナの勢いが徐々に収束に向かっている今が、中小企業にとって経営を建て直すための正念場だといえます。
ここからは、そんな企業が利用すべき“セーフティネット保証5号”について解説します。

セーフティネット保証5号の概要

経営に苦しむ中小企業をサポートするため、信用保証協会が一般保証とは別枠の保証を行う“セーフティネット保証”のうち、“業況の悪化している業種”を対象に行われるものがセーフティネット保証5号です。
保証限度額は最大2億8,000万円で、“指定業種”に該当し、なおかつ売上等の減少率などの条件をクリアしている中小企業が利用できます。
ちなみに、セーフティネット保証5号で保証されるのは、借入債務の80%です。
この点が、100%保証される“セーフティネット保証4号”と大きく異なる点ですね。
セーフティネット保証4号については、別記事で詳しく解説していますので、そちらの記事もセットでチェックしていただくことをおすすめします。

対象中小企業について

セーフティネット保証5号の対象になるには、以下の条件をクリアしなければいけません。

①経営の安定に支障が出ていることについて、市区町村長の認定を受けた中小企業であること
②指定業種に属する事業を行っていること
③直近3ヶ月間の売上高等が前年同期の売上高等に比べて5%以上減っていること

ちなみに、以下に当てはまる中小企業についても、コロナの影響を受けている場合は、セーフティネット保証5号が利用できるように、条件が緩和されています。

①業歴3ヶ月1年1ヶ月未満の中小企業
②前年以降の店舗増加等によって、単純な売上高当等の前年比較では認定が困難な中小企業

本来、セーフティネット保証5号を利用するための条件に該当しているかどうかは、前述の通り売上高を対前年と比較しなければいけませんが、緩和後はコロナの影響を受ける前などを基準として比較できます。
比較の方法には、以下の3つが挙げられます。

①直近1ヶ月の売上高等と直近3ヶ月(直近1ヶ月を含む)の平均売上高等を比較
②直近1ヶ月の売上高等と令和元年12月の売上高等を比較し、その後2ヶ月(見込み)を含む3ヶ月の売上高等と令和元年12月の売上高等の3倍を比較
③直近1ヶ月の売上高等と令和元年10~12月の平均売上高等を比較し、その後2ヶ月(見込み)を含む3ヶ月の売上高等と令和元年10~12月の3ヶ月を比較

指定業種について

セーフティネット保証5号は、指定業種に属する事業を行っている中小企業しか利用できません。
ただ、コロナ感染拡大により、マイナスの影響をまったく受けていない業種はほとんどありません。
この状況を鑑みて、現在は一部例外業種を除く原則全業種の中小企業が利用できるような配慮がされています。
令和2年5月1日~令和3年1月31日まで指定される業種は、主に以下の通りです(一部省略)。

工事業・工業・製造業総合工事業、設備工事業、食料品製造業、飲料・たばこ・飼料製造業、線維工業、木材・木製品製造業(家具を除く)、家具・装備品製造業、パルプ・紙・紙加工品製造、印刷・同関連業、化学工業、プラスチック製品製造業、ゴム製品製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業 など
インフラ関連電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、放送業、情報サービス業、インターネット附随サービス業、映像・音声・文字情報制作業、鉄道業、道路旅客運送業、道路貨物運送業、水運業、航空運輸業、倉庫業、郵便業 など
卸売業、小売業、サービス業各種商品卸売業、線維・衣服等卸売業、飲食料品卸売業、建築材料・鉱物・金属材料等卸売業、機械器具卸売業、各種商品卸売業、織物・衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、機械器具卸売業、無店舗小売業、保険業、不動産取引業、不動産賃貸業・管理業、物品賃貸業、専門サービス業、広告業、技術サービス業、飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業、洗濯・理容・美容・浴場業、娯楽業 など
その他学校教育、その他の教育・学習支援業、医療業、保健衛生、社会保険・社会福祉・介護事業、郵便局、協同組合、廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業紹介・労働者派遣業 など

指定業種に該当するかチェックするには?

前述の通り、セーフティネット保証5号の指定業種に該当する事業は、極めて多岐に渡ります。
したがって、自社が行っている事業が果たして指定業種に該当するのかどうか、チェックするのが難しいという中小企業も出てくるでしょう。
その場合は、以下の手順に沿ってチェックすることが可能です。

①業種の特定
まずは“日本標準産業分類”において、該当する業種を特定します。
業種は4桁の業種番号(細分類番号)と併せて表示されます。

②細分類番号の特定
該当する業種が属する細分類番号(4桁)を特定します。

③指定業種リストの確認
セーフティネット保証5号の指定業種リストに、特定した細分類番号があるかチェックします。
ここに番号が掲載されていれば、当該企業が行っている事業は指定業種に当てはまるということになります。
ちなみに、指定業種リストには、“〇〇に限る”、“〇〇を除く”という記載もあり、その場合は指定業種の範囲もそれに従うことになるため、注意してください。
例えば、保険業は指定業種となっていますが、“保険媒介代理業およびサービス業に限る”と記載されているため、これに当てはまらない場合は、セーフティネット保証5号の利用条件を満たせません。

申請方法、必要書類について

セーフティネット保証5号を利用する場合、本店所在地の市町村の商工担当課等の窓口に書類を提出し、認定を受けた後、希望の金融機関または所在地の信用保証協会に認定書を持参の上、保証付き融資を申し込む必要があります。
また、各自治体によって微妙に異なりますが、認定に必要な書類は基本的に以下の通りです。

①認定申請書2枚(本店所在地の市町村の商工担当課等に提出)
②直近3ヶ月と昨年同期の売上額、原材料費などが確認できるもの(損益計算書、試算表、決算書など)

ちなみに、認定を受けた場合でも、金融機関および信用保証協会の金融上の審査が行われます。

セーフティネット保証5号を利用するメリット

セーフティネット保証5号を利用するメリットは、なんといってもすでに受けている保証プラス、別枠で保証が受けられるという点です。
すでに信用保証協会による信用保証を受けていても、それは“一般保証”としてカウントされ、特別な保証として受けられるのがセーフティネット保証5号です。
もちろん、これは別記事で解説している“セーフティネット保証4号”にも同じことがいえます。
また、セーフティネット保証5号を利用すれば、今ある借入を返済できず、遅延金が科されるのを免れることもできます。
セーフティネット保証5号では、信用保証協会が保証人となってくれるため、中小企業がどうしても借入金を返済できないとき、代わりに返済してくれます。
つまり、返済が滞ることがないため、利息が膨れ上がってしまうリスクを防げるということですね。

まとめ

ここまで、正念場を迎える中小企業の大きな助けとなる“セーフティネット保証5号”について解説してきましたが、いかがでしたか?
コロナの影響により、現在セーフティネット保証5号の利用条件は、従来よりもかなりハードルが下がっているといえます。
したがって、まだ利用していない中小企業は、ぜひ詳細をチェックしてみてください。