新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、世の中は深刻なマスク不足に悩まされています。
また、このような有事にも関わらず、マスクを高額で転売する人物が後を絶たないことから、政府はついにマスクの“転売禁止政令”を出しました。
今回は、その政令の概要や発令後の変化などを中心に解説したいと思います。

マスクの転売禁止政令の概要

2020年3月10日、政府はマスクの転売禁止政令を閣議決定しました。
正確には、“国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令”というものです。
具体的には、当政令が施行される3月15日以降、購入した価格以上で衛生マスクを転売することが禁じられます。
もちろん、違反した人物は罰則を受けることとなり、その内容は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、もしくは両方とされています。
また、この政令の対象となるマスクには、スーパーやドラッグストア、オンラインショップなどの小売業者、製造・輸入業者、卸業者などから購入したものすべてが該当します。
ただ、個人が作成したものに関しても、すべてが例外になるわけではありません。
もっと言えば、マスク自体を高額で転売することだけでなく、マスクの価格を安くして、送料や手数料を著しく高くするといった行為も禁止されています。
これだけ厳しくマスクの転売を規制する理由には、やはり新型コロナウイルスの影響で、いわゆる“転売ヤー”が多く現れたことが挙げられます。
コロナ感染拡大の不安に乗じて、小売店舗などでマスクを大量に購入し、ネット上で高額転売する行為は、マスクの品薄状態に拍車をかけるものであり、野放しにしておくわけにはいきません。
ちなみに、今回の政令において禁止されているのは、マスクの転売のみです。
したがって、消毒用アルコールなど、マスク以外にも品薄になっている品目については、規制の対象にはなりません。

規制対象となる“衛生マスク”について

マスクの転売禁止政令は、購入した価格以上で“衛生マスク”を転売することが禁じられる政令です。
では、ここでいう衛生マスクとは、具体的にどのようなものを指しているのでしょうか?
詳しく見てみましょう。

①家庭用マスク
風邪は花粉症対策などの目的で、日常的に使われるマスクを“家庭用マスク”といいます。
一般の方は、ほとんどがこのマスクを使用しています。

②医療用マスク
主に医療現場、もしくは医療用に使用される感染防止用マスクを“医療用マスク”といいます。

③産業用マスク
主に工場などで、作業時の防塵対策として使用されるマスクを“産業用マスク”といいます。

ちなみに、個人が作成したものに関しても、用途や素材、形状等に応じて、転売規制の対象となります。
ただ、美容フェイスマスク(パックなど)、使い捨て式ではない防塵マスク(樹脂等の面体を有するもの)、防毒マスクなどは、規制対象となりません。

規制はいつまで続くのか?

マスクの転売禁止政令による規制がいつまで続くのかについては、現段階では未定です。
当政令は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、一定の期間に限って緊急的に措置するものです。
したがって、今後マスク需要の逼迫を含め、さまざまな状況を総合的に勘案し、措置の必要性がなくなったと判断された場合には、速やかに規制を廃止する予定とされています。

発令後、転売は減ったのか?

では、マスクの転売禁止政令が発令された後、果たして転売は減少したのでしょうか?
結論からいうと、これまで大量の転売ヤーが確認されていたフリマアプリ、ネットオークションからは、マスクの出品が消えています。
したがって、発令前よりは転売が減少したと言えるでしょう。
これは、楽天やヤフー、メルカリなどの大手が高額転売の自粛を要請したり、不当な商品を削除したりと、精力的に対応にあたってきた賜物です。
ただ、ECサイト(通販サイト)においては、高額で販売されるマスクが依然として見受けられます。
なぜなら、事業者から消費者に直接販売する分に関しては転売ではないため、どれだけ高額で販売しようとも、規制の対象にはならないからです。
つまり、マスクの高額転売は減ったものの、“お金がなければマスクを買えない”という状況自体は、大きく変わっていないということですね。
もちろん、以前数千円あるいは数万円単位で転売されていたようなマスクはほとんどなくなりましたが、事業者が販売する高額マスクも、そう易々と買えるものではありません。
ちなみに、楽天市場やヤフーショッピング、AmazonなどのECサイトでは、通常1枚数十円程度で販売されているマスクが、現在は100円以上で販売されています。
これを受けて楽天市場は、著しく高額なものは掲載を停止することを検討していますが、「適正価格は需要と供給のバランスによって決まる側面もあるため、見極めるのは非常に難しい」と頭を抱えています。

店頭におけるマスク不足の現状は?

マスクの転売禁止政令が発令されて以降、ネットでの高額転売が減少したのは確かです。
では、その分店頭に並ぶマスクは増加しているのでしょうか?
残念ながら、現状はそうではありません。
トイレットペーパーやキッチンペーパー等の紙製品の入荷は、以前より比較的安定し始めましたが、店頭におけるマスク不足が目立つ状態は続いています。
また、ドラッグストア等でごく少量の入荷があったとしても、開店前から行列ができ、開店と同時に売り切れるケースがほとんどです。
ただ、日本マスク工業会によると、現在各メーカーはフル操業でマスクを生産しているようです。
したがって、原材料が不足しているというわけではなさそうですね。

マスク不足の理由はコロナウイルスだけではない

これほどまでにマスクが不足している1番の理由は、やはり新型コロナウイルスの感染拡大によって、以前よりマスクを装着する方が増えたことです。
ただ、実は他にもマスク不足の原因があります。
それは、日本国内で流通するマスクの半分以上が、中国からの輸入だったことです。
また、2月の春節で輸入が止まりがちな時期と、今回の新型コロナウイルス感染拡大が重なってしまったことも、深刻なマスク不足を招いている理由とされています。
つまり、さまざまな悪条件が重なってしまったことによって、現在はマスク不足となっていますが、今後供給量が追い付く可能性は高いということですね。

マスク不足が解消するのはいつ頃?

マスクを生産すること自体は、それほど時間のかからない作業です。
また、先ほども触れたように、各メーカーは今フル操業でマスクを生産しています。
したがって、近いうちに店頭におけるマスク不足は解消される可能性が高いです。
日本衛生材料工業連合会によると、現在中国の生産ラインが動き始めているため、4月には多くの店舗にマスクが並ぶようになるとのことです。
ただ、従来通り制限なく購入できるかについては、まだ不透明な状態です。
おそらく、4月に入って店頭にマスクが並ぶようになっても、現在と同じように“1人1つまで”というような制限付きで購入しなければいけない状態は続くでしょう。

まとめ

ここまで、マスクの転売禁止政令の概要、発令後のネット、店頭の変化を中心に解説してきました。
近いうちに、マスクは徐々に店頭に並ぶことが予想されています。
したがって、もう少し辛抱していれば、高額で購入しなくても手に入る日が来るため、高額なマスクを現段階で購入するのは、必要最低限の量に押さえておきましょう。
もちろん、高額転売されているものに関しては、絶対に手を出してはいけません。