2020年4月1日から、“改正健康増進法”が施行されます。
なんとなく耳にしたことがある方もいるでしょう。
これは、主に受動喫煙防止を目的としたものであり、とても細かく改正されているため、喫煙者の方も非喫煙者の方も、内容を把握しておくべきだと言えます。
詳しく見ていきましょう。

そもそも、健康増進法って何?

改正健康増進法について解説する前に、まずは“健康増進法”について解説しましょう。
健康増進法は、2003年5月に施行された法律です。
日本の急速な高齢化やガン、糖尿病などの生活習慣病の増加に対応するため、生涯を通じた健康管理のあり方を規定した法律です。
具体的には、健康指導や喫煙、特別用途表示や栄養表示基準などについて定められており、従来の栄養改善法などに代わる法律として制定されています。

改正健康増進法について

先ほど紹介した健康増進法は、2020年から一部を改正して新たに施行されます。
それが改正健康増進法です。
“望まない受動喫煙”をなくすことが目的であり、2019年7月1日の一部施行では、学校や病院、行政機関、児童福祉施設の敷地全体が禁煙となりました。
また、2020年4月には全面施行され、これにより今までよりもさらに受動喫煙防止に向けた取り組みが強化されていきます。

改正健康増進法施行によって適用されるルール

改正健康増進法が施行されると、屋内での喫煙は原則禁止となります。
ただ、一定条件を満たすことで屋内での喫煙が認められるケースもいくつかあります。
具体的に解説しましょう。

① 新規飲食店、客席面積100㎡以上の飲食店、資本金5,000万円以上の飲食店
飲食店の場合、2020年4月1日以降の新規店、客席面積100㎡以上の店舗、資本金5,000万円以上の店舗は、屋内に喫煙専用ルーム(紙タバコもしくは加熱式タバコが吸える部屋)を設置できます。
ただ、紙タバコの喫煙専用ルームを飲食可にすることはできません(加熱式タバコの喫煙専用ルームは飲食可にできる)。
あくまで、喫煙するためだけの部屋として設置することのみが許可されます。
また、喫煙専用ルームは、出入口の風速を一定量(毎秒0.2m以上)確保したり、煙が外に漏れないように壁・天井で区切ったり、煙を外に出す設備を付けたりしなければいけません。
ちなみに、店舗が複数階ある場合は、壁や天井を区切った上で、加熱式タバコ喫煙専用フロアを設けることもできます(紙タバコはNG)。
しかし、喫煙できるエリアに未成年(従業員も含む)が立ち入ることはできません。

② 既存飲食店、客席面積100㎡以下かつ資本金5,000万円以下の飲食店
これまで継続して経営されている飲食店、客席面積100㎡以下かつ資本金5,000万円以下の飲食店は、経過措置として、現行の喫煙ルールを継続することが可能です。
ただ、そのためには法令によって指定された標識を掲示しなければいけません。

③ 喫煙を主な目的とする飲食店
バーやスナックなど、喫煙を主な目的の1つとする飲食店も、現行の喫煙ルールを継続できます。
ただ、ご飯類や麺類など、一般的に主食とされる料理を主に提供する飲食店は対象外となります。

④ オフィス、商業施設、宿泊施設等
オフィスや商業施設、宿泊施設は、屋内に喫煙専用ルーム(紙タバコもしくは加熱式タバコが吸える部屋)を設置可能です。
また、飲食店のケースと同じく、紙タバコ専用ルームでは飲食ができません。
風速や排気などの条件も、①の飲食店と同じです。
そして、もちろん屋外に喫煙所を設けることもできます。

⑤ 宿泊施設の客室
宿泊施設の客室は、改正健康増進法が適用されません。
そのため、喫煙にするか禁煙にするかは、経営者側が選択できます。

⑥ 児童福祉施設、行政機関等
児童福祉施設、行政機関等は、喫煙可能な場所を区切り、なおかつ法令によって指定された標識を掲示すれば、屋外に喫煙所を設置できます。
ただ、屋外喫煙所は施設の利用者が通常立ち入らない場所に設けなければいけません。

事業者への財政支援等について

改正健康増進法が施行されるとはいえ、飲食店や企業がルールに則った経営体制を整えるには、当然ながら費用がかかります。
したがって、国は受動喫煙対策を行う際の支援策として、各種喫煙ルームの設置等に係る財政支援制度等を整備しています。
例えば、中小企業事業者は“受動喫煙防止対策助成金”という制度を利用できます。
これは、中小企業事業者が受動喫煙防止対策を実施するために必要な経費のうち、一定の基準をクリアした各種喫煙室等の設置などにかかる工事費用、設備費用、備品費用、機械装置費用などの経費に対して、助成を行うという制度です。
そのため、経済的な余裕がなくても、事業者はある程度ルールに則った経営体制を整えることができるのです。

違反時の罰則について

改正健康増進法で定められたルールに違反した場合、まずは都道府県知事から“指導”が入ります。
また、指導に従わなかった場合、違反行為の内容に応じて“勧告”や“命令”が入り、管理権限者(建物の所有者、管理者、テナント経営者など)の場合は、企業の名前を公表されてしまうこともあります。
そして、これだけ注意を受けても改善されない場合は、罰則(過料)を科されることになります。
罰則は企業や飲食店などにとって大きな負担となるため、もし違反行為があったとしても、早急に改善できるように努めましょう。
ちなみに、具体的には以下の行為が違反となります。

 喫煙禁止場所での喫煙(企業や飲食店関係者以外も対象)
 あたかも喫煙可能であるような標識を掲示すること(企業や飲食店関係者以外も対象)
 禁煙を表す標識を汚すまたは破損させること(企業や飲食店関係者以外も対象)
 喫煙禁止場所に喫煙器具、設備を置くこと
 喫煙可能エリアに未成年(従業員を含む)を立ち入らせること

改正健康増進法はあまり認知されていない?

これだけ細かいルールが設けられた改正健康増進法ですが、実はそれほど認知されてないのが現状です。
総合マーケティング支援を行う“ネオマーケティング”の調査によると、改正増進法の認知度は以下のようになっています。

Q.2020年4月から施行される改正健康増進法を知っていますか?
内容まで知っている…8.7%
内容までは知らないが聞いたことはある…20.8%
知らない…70.6%

上記のデータを見てみると、実に7割以上の方は改正健康増進法の存在すら知らないということがわかります。
また、年代別に見ても、改正健康増進法の存在を知っている割合が3割を超えたのは20代だけであり、それ以外の世代の認知度は3割を下回っています。
ただ、改正健康増進法の施行で喫煙場所が制限されることについては、“困る”と感じている方が多く存在します。
ネオマーケティングによって行われた、以下のアンケートを見てください。

Q.喫煙場所に制限が出ることで困りますか?
困る…44.9%
やや困る…35.7%
あまり困らない…12.9%
困らない…6.5%

“やや困る”を含めると、全体の約8割の方が“喫煙場所に制限が出ると困る”と思っているのです。
つまり、改正健康増進法の認知度は低いものの、知っている方の多くは施行されることによる負担を“重い”と感じているわけですね。

まとめ

ここまで、4月に施行される改正健康増進法について徹底的に解説してきましたが、いかがでしたか?
しっかり目を通していただいた方は、冒頭で言った“喫煙者の方も非喫煙者の方も内容を知っておくべき”という言葉の意味を理解できるでしょう。
また、近年の禁煙に対する意識の向上から、今後日本においては、受動喫煙防止に関する取り組みがさらに増加していくことが予想されます。