皆さんは、今話題の“サブスク”というサービスをご存知でしょうか?
サブスクは、あらゆるジャンルで導入されているサービスであり、近年は“食べ放題”のサブスクを採り入れる飲食店も増えてきました。
ただ、食べ放題のサブスクは、思いのほか苦戦を強いられています。
今回はその理由などを中心に解説しましょう。

“サブスク”の概要

サブスクとは、“サブスクリプション”の略であり、定額の料金を支払うことで、一定期間のサービスが保証されるものを言います。
元々は、“予約購読”や“年間購読”という意味の言葉ですが、さまざまなジャンルで導入されるようになってから、“定額制サービス”と認識されるようになりました。
また、サブスクが広まるきっかけとなったのは音楽業界であり、定額料金を支払うことで、加盟するアーティスト、レーベルの音楽が聴き放題になるサービスが代表的です。
ちなみに、サブスクという言葉自体が流行りだしたのは最近ですが、同様のサービスは昔から存在しています。
例えば、新聞の月額制あるいは年額制による定期購読は、サブスクの元祖と言っても過言ではありません。

食べ放題のサブスクについて

冒頭でも触れたように、近年勢いを増すサブスクは、飲食店でも多く導入されるようになりました。
具体的には、定額料金を支払うことで、食べ放題や飲み放題が毎日利用可能になるサービスですね。
では、ここからは食べ放題のサブスクの導入事例を見てみましょう。

① 野郎ラーメン
野郎ラーメンは、関東エリアで“ガッツリ系本格ラーメン”を提供するラーメン店です。
こちらでは、看板商品の“豚骨野郎”、“汁なし野郎”、“味噌野郎”を、1日1杯月額8,600円で提供するサービス“1日一杯野郎ラーメン生活”が実施されています。
アプリ内のパスポートを数回タップし、店舗番号を入力して店員に見せるだけで利用でき、野郎ラーメン全店舗が対応しています。
1ヶ月8,600円と聞くと、それほど安くないと感じる方もいるかもしれませんが、対象商品の1つである“豚骨野郎”は1杯780円のため、1ヶ月で12杯食べれば元が取れます。
また、このサブスクでは、1ヶ月毎日1杯ラーメンを食べられるわけですから、最大31杯まで8,600円で食べられると考えると、非常にお得だと言えます。
さらに、野郎ラーメンのサブスクは、他のクーポンと併用することもでき、麺増しや野菜増し、小ライスやミニビールなど、8大特典が1度の注文で利用できる“ブタックカード”との併用も可能です。

② 牛角
大手焼肉チェーンの“牛角”では、食べ放題のコースが1ヶ月11,000円で楽しめるサブスクが提供されています。
こちらは、食べ放題の“牛角コース(3,828円)”と“お気軽コース(3,278円)”のいずれかを1日1回、1ヶ月利用できるというとてもお得なものです。
牛角コースであれば、月3回利用すれば元が取れ、仮に31日間毎日利用した場合、1回あたり366円という破格の安さで食べ放題が楽しめます。

③ 金の蔵
全国展開する大手居酒屋チェーンである“金の蔵”は、以前紙カードで運用されていた購入型のお得定期券を、スマホアプリ内で提供しています。
内容としては、通常1,800円の”プレミアム飲み放題120分“が、月額4,000円で毎日1回利用できるというものです。
つまり、1ヶ月に2回来店するだけで元が取れてしまうということですね。
さらに、このサブスクには、お通し代無料、誕生日のサービス、店舗のラッキーナンバーとアプリのラッキーナンバーの下4桁一致でその日の食事代無料など、驚くほど優遇される会員特典も付いており、爆発的な人気を誇っています。

飲食店が食べ放題のサブスクを採り入れるメリット

飲食店が食べ放題のサブスクを採り入れることには、主に以下のようなメリットがあります。

① 集客増が見込める
サブスクの1番のメリットは、やはり集客増が見込めるという点でしょう。
先ほど紹介した野郎ラーメンや牛角のように、大きな話題となれば、これまで獲得できなかった層に多く来店してもらえることになります。

② ライバルと差を付けられる
飲食店は、業態を問わず続々と開店していますが、その反面、同じくらいの数の店舗が閉店を余儀なくされています。
そのため、今話題のサブスクを導入すれば、ライバル店との差別化を図ることができ、結果それが店舗の存続に繋がりやすくなります。

③ リピーター獲得のチャンスが生まれる
飲食店がサブスクを採り入れることで、新規顧客の来店が増加します。
また、そこで店の味や良さを知ってもらうことで、同時にリピーター獲得のチャンスも生まれます。
つまり、サブスクの食べ放題を導入することで、他のメニューを注文する方や、サブスク対象外の時間帯に来店する方を増やせる可能性があるということです。

食べ放題のサブスクはなぜ苦戦している?

ここまで見ると、食べ放題のサブスクは大きな話題を呼んでいますし、飲食店にとって導入するメリットもたくさんあるため、サービスとして順風満帆であるように思えますよね。
ただ、実際食べ放題のサブスクには、苦戦を強いられている部分があります。
その理由としては、主に以下のことが挙げられます。

① 利益を出すのが難しい
食べ放題のサブスクは、話題性が高く集客性に優れているという話をしました。
ただ、あくまで来客にとって“お得”であることが大前提であるため、定額以上に来客が利用し、損益分岐点をオーバーしてしまうと、どこかでそれをカバーしばければいけなくなります。
つまり、食べ放題のサブスクだけでは、なかなか利益を出すのが難しいということですね。
例えば、1ヶ月8,600円のサブスクを提供する野郎ラーメンにおいて、毎日ラーメンを食べる来客がいた場合、1杯あたりの価格は約286円になります。
これが1人であれば、飲食店にとってそれほど大きな負担にはならないかもしれませんが、もし複数人が毎日ラーメンを食べた場合はどうでしょうか?
一気に売上は落ちますよね。
ここが食べ放題のサブスクの難しいところです。

② 利用をためらう来客が多い
食べ放題のサブスクは、1度定額料金を支払えば、特定のメニューがお得な価格でたくさん食べられます。
ただ、利用を開始し、1度飲食店に訪れたものの、「今後も利用していきたい」と感じなかった場合、その来客が支払った定額料金は無駄になってしまいます。
これを危惧して、利用をためらう来客が多いというところも、食べ放題のサブスクが苦戦している理由の1つです。

③ 利用者が殺到すると継続するのが難しい
飲食店が食べ放題のサブスクを導入するそもそもの目的は、もちろん多くの来客に足を運んでもらうことです。
ただ、飲食店にも席数というものがあるため、1度に来店してもらえる客数には限界があります。
そのため、利用者が殺到してしまうと、「利用したいのに席がいっぱいで入れない」という状況が続いてしまい、サブスクの継続が難しくなってしまいます。
実際、昨年から食べ放題のサブスクを導入している牛角は、反響が大きすぎて、予約で連日席が埋まり、利用者が来店できない状況になったことをきっかけに、食べ放題パスの販売を終了しています。

まとめ</h2