待ちに待った東京オリンピック開催まで、残り半年弱となりました。
ただ、オリンピックに向けた“飲食店の全面禁煙化”は、いまだに方々でさまざまな議論がされています。
したがって、今回は、オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化の概要や必要性などについて、詳しく解説したいと思います。

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化の概要

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化は、2020年4月1日から施行されることが決まっています。
ただ、飲食店の全面禁煙化は、東京都の“受動喫煙防止条例”と、国の“改正健康増進法”によって定められるものであり、それぞれが定める法律、条令には違いがあります。
国が定める改正健康増進法では、客席面積100㎡以下、資本金5,000万円以下、2020年3月31日までに開業した飲食店が規制の対象になるのに対し、東京都が定める受動喫煙防止条例では、国の法律に加えて、従業員を雇用しているかどうかも、規制条件に加わっています。
また、違反した際の罰則に関しても違いがあり、改正健康増進法では、施設の管理者が50万円以下、喫煙者が30万円以下と高額な罰金を支払わなければいけないのに対し、受動喫煙防止条例で定められた罰金は、施設管理者、喫煙者のどちらも50,000円以下となっています。
ちなみに、以下の項目に関しては、違いはありません。

 原則屋内全面禁煙化
 紙巻タバコ:喫煙専用室を設置すれば喫煙可(ただし、喫煙専用室での飲食は不可)
 加熱式タバコ:加熱式タバコ専用喫煙専用室を設置すれば喫煙可(喫煙専用室での飲食も可)

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化の必要性は?

では、オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化が必要な理由は、一体何なのでしょうか?
1つ1つ詳しく見ていきましょう。

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化が必要な理由①慣例があるため

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化が必要である大きな理由として、まず“過去の慣例があるため”ということが挙げられます。
国際オリンピック委員会(IOC)は、1988年に開催されたオリンピックのカルガリー大会以降、オリンピックでの禁煙方針を採択し、会場内外の禁煙化を図ってきました。
それだけでなく、タバコ産業とのスポンサーシップも拒否し続けています。
また、2004年に開催されたアテネ大会以降、冬季大会も含め、オリンピック・パラリンピックでは、屋内を全面禁煙化する法律、条令がある国、都市で開催されることが慣例となっています。
つまり、これまでオリンピックにおいて、当然のように屋内全面禁煙化が実施されているため、東京オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化も実施する必要があるということです。
ちなみに、過去に開催されたオリンピックでは、主に以下のような全面禁煙化の取り組みがされています。

 ロンドン大会(2012年):イギリス全土の屋内施設を全面禁煙化とする法律を施行
 ソチ大会(2014年):ロシア全土の屋内施設を全面禁煙化する法律を施行
 平昌大会(2018年):韓国全土の屋内施設を全面禁煙化(一部例外を除く)

もっと言えば、東京オリンピックの2年後に開催される冬季大会を招致した北京においても、罰則を伴う条例により、屋内全面禁煙化が徹底されています。

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化が必要な理由②WHOとIOCの意向があるため

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化が必要である理由には、“WHO(世界保健機関)とIOCの意向があるため”ということも挙げられます。
WHOとIOCは、2010年、すべての人々に運動、スポーツを奨励し、“タバコのないオリンピック”を推進することに合意しています。
オリンピック開催地である日本としては、この両者の意向に背くわけにはいかないため、飲食店の全面禁煙化をする必要があるということです。
また、開催都市である東京において、厳しい条令(受動喫煙防止条例)が施行されることに関しても、致し方ないことだと言えるでしょう。

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化が必要な理由③“分煙”では不十分なため

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化が必要である理由には、“分煙では不十分なため”という理由もあります。
現在でも、分煙化がされている飲食店は多く存在しますが、分煙の場合、人が出入りする少しの隙間からでも煙が入ってきてしまうため、完全に受動喫煙を避けることは不可能だとされています。

開催都市の東京が観光地であることも大きい

オリンピック開催都市である東京は、日本でも有数の観光地です。
そのため、オリンピックの開催時期には、各国の選手団だけでなく、多くの観光客も訪れることが予想されます。
これも、飲食店の全面禁煙化が必要な大きな理由だと言えるでしょう。
日本に訪れる選手団あるいは観光客は、屋内が全面禁煙化された国から来日することも多く、開催国として、綺麗な空気の中で、日本の文化や食事などを楽しんでもらうことは、この上ない“おもてなし”となります。
おもてなしの精神をアピールすることで、見事開催国となった日本ですから、大会期間中にその精神を全うすることは、非常に重要だと言えるでしょう。

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化は正しい選択なのか?

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化に必要性があるということは、ここまでである程度理解していただけたでしょう。
ただ、この飲食店における全面禁煙化が果たして正しいのかどうかについては、いささか疑問が残ります。
なぜなら、飲食店の全面禁煙化を導入することで、以下のような問題が発生する可能性があるためです。

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化によって起こる問題①タバコのポイ捨て

飲食店が全面禁煙化されれば、喫煙者は当然、屋外でタバコを吸うことになります。
ただ、そうなると、これまでよりもタバコのポイ捨ては発生しやすくなるでしょう。
また、東京オリンピックの開催期間中は、競技会場の敷地内を全面禁煙にするということも、競技大会委員会によってすでに決定されています。
つまり、オリンピック期間中は、屋外でも喫煙できる場所が限定されるため、さらにタバコのポイ捨てが増えやすくなってしまうということです。
実際、2018年に開催された平昌オリンピックでは、競技会場の敷地内が全面禁煙化されていたにも関わらず、会場周辺での喫煙が相次ぎ、排水溝やゴミ箱に吸い殻が捨てられるという場面も多く見られました。

オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化によって起こる問題②客離れに伴う売上の減少

オリンピックに向けて、飲食店が全面禁煙化されることで、飲食店では客離れに伴う売上の減少が見られる可能性があります。
また、大きな客離れは起こらなかったとしても、喫煙者から非喫煙者へ客層が変わることで、客単価が下がり、結果的にそれが売上の減少に繋がることも考えられます。
もちろん、全面禁煙化によって売上が減るというのは、あくまで通説に過ぎません。
根拠という根拠は何もないのです。
ただ、これが飲食店にとって、大きな懸念材料となることは間違いないでしょう。

まとめ

ここまで、オリンピックに向けた飲食店の全面禁煙化の概要や必要性などについて、さまざまな角度から解説してきましたが、いかがでしたか?
飲食店経営者の方、喫煙者の方にとって、オリンピックに向けた全面禁煙化は、決して好ましいことではないでしょう。
ただ、オリンピック開催地としての義務を果たす、あるいはおもてなしの精神を全うするという意味では、全面禁煙化をするのは致し方ないと言えます。