底地(貸宅地)において発生する地代の算出方法は、1つではありません。
また、借地人様における底地(貸宅地)の用途によって、地代の相場にはかなり違いが出てきます。
今回は、地主様が知っておくべき地代の算出方法、そして用途によって異なる地代相場について解説したいと思います。

地主様が知っておくべき地代の算出方法

地主様が知っておくべき地代の算出方法は、主に以下の4つです。
それぞれ具体的に解説しますので、この機会にぜひ学んでいただきたいと思います。

①積算法
対象不動産の基礎価格に乗ずる利回り(期待利回り)を利用し、地代を弾き出すという方法です。
もっとわかりやすく言うと、利益を得ることが予想される物件の“期待率”を基に、地代を弾き出すという方法ですね。
これは、土地の価格×期待利回り+諸経費という計算式が使用されるものであり、諸経費には固定資産税、都市計画税も含まれます。
ちなみに、積算法において用いられる期待利回りは、概算で2%程度に設定されるケースが多いです。

②賃貸事例比較法
周辺の条件が近い物件の地代と比較したり、それを参考にしたりすることで、地代を弾き出すという方法です。
これは、不動産を売却する際にも、同じような形式で用いられています。
賃貸事例比較法を用いるのであれば、まず他の土地で行われた賃貸契約の情報を収集し、“批准地代”を弾き出す必要があります。
ただ、田舎などの遠隔地では、条件が近い物件の情報を集めにくいため、この方法を用いるメリットがあまりありません。
また、当然のことですが、契約内容が似ている物件の地代でなければ、比較したり、参考にしたりしにくいため、注意が必要です。

③収益分析法
その土地に賃貸物件や店舗などが建築されたと仮定し、そこで生じる純利益から、土地の貢献度を調べて地代を弾き出すという方法です。
この方法で地代を弾き出す場合、貢献度が高い事業であるほど金額が高くなり、逆に貢献度が低ければ金額は低くなります。
また、賃貸物件から生じる地主様の事業予想収益、または店舗などから生じる借地人様の事業予想収益のいずれかをベースにします。
ただ、この方法での地代の算出には、複雑な調査が必要になるため、専門家に依頼して行うケースが多いです。

④公租公課倍率法
固定資産税、都市計画税の税率を乗じた金額の3~5倍を、地代として弾き出す方法のことを言います。
ちなみに、固定資産税の税率は固定資産税評価額の1.4%、都市計画税の税率は0.3%であり、合計すると1.7%になります。
非常にシンプルな算出方法ではありますが、田舎などのエリアには、都市計画税が適用していないエリアも存在するため、どこでも簡単に利用できる方法というわけではありません。

路線価をベースに弾き出す方法もある

地代の算出方法は、主に前述の4つですが、他に路線価をベースに弾き出すという方法もあります。
この方法では、毎年7月頃に発表される路線価から、1㎡あたりの更地価格の目安を弾き出し、それに1~1.5%を乗じた金額を、地代として弾き出します。
ちなみに、1㎡あたりの更地価格の目安は、路線価×0.8という計算式で算出できます。
それほど複雑な計算をする必要がない算出方法であるため、地主様は知っておいて損はないでしょう。

底地(貸宅地)の用途によって異なる地代相場

ここまで解説した地代の算出方法のいずれかを用いることで、地代を弾き出すことができますが、底地(貸宅地)の用途によって、地代相場にはかなりの違いが出ます。
また、地代を算出した後、用途ごとの地代相場を確認し、双方の金額に差異がなければ、適切な地代を弾き出せていると判断できます。
そのため、用途ごとの地代相場を知っておくというのは、地主様が適切な地代を算出するにあたって、とても重要なことなのです。
では、底地(貸宅地)の用途によって異なる地代相場を見てみましょう。

①用途が駐車場の場合の地代相場※

底地(貸宅地)の広さ1ヶ月の地代相場
290坪360,000円
280坪350,000円
250坪270,000円
215坪260,000円
150坪200,000円

②用途が資材置場の場合※

底地(貸宅地)の広さ1ヶ月の地代相場
630坪300,000円
240坪250,000円
190坪130,000円
150坪160,000円
85坪100,000円

※首都圏の一部の物件のデータです。

③用途がコンビニの場合
借地人様における底地(貸宅地)の用途がコンビニの場合、地主様がどのような方式で底地(貸宅地)を貸し出すかによって、地代の相場が変わってきます。
ちなみに、“事業定期借地方式”は、土地のみを貸し出す方式であり、“リースバック方式”は、店舗を地主様自身で建築し、土地と併せて貸し出す方法です。

底地(貸宅地)の貸し出し方式1ヶ月の地代相場
事業用定期借地方式固定資産税額の3~5%
リースバック方式80~100万円程度

④用途が太陽光発電の場合
借地人様における底地(貸宅地)の用途が太陽光発電の場合、1㎡あたり年間150円が地代の相場となります。
これは、政府機関によって報告されている、非常に信頼性の高い目安です。
例えば、借地人様が1,000㎡の底地(貸宅地)で太陽光発電をする場合、地主様は年間150,000円の地代を受け取れることになります。

地代は引き上げることができるのか?

地代には、用途ごとの相場がありますが、それ以上に引き上げることは可能なのでしょうか?
結論から言うと、地代を引き上げることは不可能ではありません。
とはいえ、もちろん地主様の一存で引き上げられるわけではなく、借地人様の同意を得ることが大前提となります。
また、引き上げの交渉をする際は、必ず引き上げの明確な根拠を持っておきましょう。
地代の引き上げは、あくまで地主様側の問題であり、ハッキリ言って、借地人様にとっては関係のないことです。
ましてや、根拠をしっかり説明しなければ、多くの借地人様は、快く引き上げに応じてくれないでしょう。
一方で、「税金が上がって、維持が難しくなった」など、地代引き上げの根拠を包み隠さず伝えれば、まだ借地人様に納得してもらえる可能性は高くなります。
そして、増税などが理由で、引き上げの交渉をする際は、前もって作成しておいた資料を借地人様に見てもらいながら、わかりやすく根拠を伝えることをおすすめします。
ただ、引き上げをしたい理由を包み隠さず伝えたとしても、地主様の個人的な理由(他で借金をしてしまった、もっと収入を増やしたい等)である場合、納得してもらえない可能性は高くなります。

地代の引き上げはタイミングも重要

地代の引き上げを行うには、明確な根拠が必要だという話をしました。
ただ、もっと引き上げられる可能性をアップさせるためには、交渉のタイミングについても考慮しなければいけません。
例えば、借地人様との契約期間がまだ残っているタイミングで、何の脈絡もなく引き上げの交渉をした場合、納得してもらえない可能性が高くなるでしょう。
そのため、地代の引き上げ交渉は、契約が更新されるタイミング、あるいはもう少しで契約期間が満了するタイミングで行うことをおすすめします。
このタイミングであれば、借地人様も今後の契約をどうするのかという選択肢がある中で検討できるため、より有意義な話し合いができるでしょう。

まとめ

ここまで、地主様が知っておくべき地代の算出方法、そして用途によって異なる地代相場を中心に解説してきました。
地主様は、自身が得られる利益のロスを減らすため、そして借地人様とのトラブル発生を防ぐために、必ず地代の算出方法、相場を把握しておかなければいけません。
逆に、これだけの知識を有しておけば、非常識な地代を設定してしまうようなことはなくなります。