事業者が不動産売却を行う際は、“簡易課税”という制度を利用することで、消費税の負担を抑えることができます。

今回は不動産売却における簡易課税について簡単に解説し、利用する利点や欠点、または利用方法などについても詳しく解説します。

これから不動産を売却する事業者の方は、ぜひ1度目を通してください。

不動産売却における“簡易課税”の概要

不動産売却における簡易課税とは、事業者の課税の売上高から差し引かれる仕入れの税額を計算するため、みなし仕入れ率を適用させる制度のことを指します。

簡易課税には“事業区分”というものが存在し、みなし仕入れ率はどの事業区分に該当するかによって異なります。

不動売却時に不動産業として仲介を行う場合、事業区分は第六種事業という扱いになりますが、不動産会社が経営していた賃貸物件などを売却する場合、事業区分は第四種事業と判断されます。

事業区分がどれにあたるのかという判定は、原則その事業者による課税資産の譲渡等ごとに行います。

ちなみに第六種事業のみなし仕入れ率は40%、第四種事業のみなし仕入れ率は60%となっています。

その他の事業区分とみなし仕入れ率は以下の通りです。

事業区分みなし仕入れ率事業内容
第一種事業90%卸売業
第二種事業80%小売業
第三種事業70%農業、林業、漁業など
第四種事業60%第一種、第二種、第三種事業以外の事業(飲食店業など)、事業者が自己において使用していた固定資産の売却
第五種事業50%運輸通信業、金融業、保険業など
第六種事業40%不動産業

参考:国税庁「簡易課税制度の事業区分」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6509.htm

不動産売却において簡易課税を利用する利点は?

不動産売却において簡易課税を利用する1番の利点は、やはり消費税の計算がしやすくなるという点でしょう。

事業区分によってみなし仕入れ率は固定されているため、仕入れまたは経費のために支払った消費税を考慮せず、簡易な計算が実現できます。

またみなし仕入れ率を利用して計算しているため、納税額の面で優遇される可能性もあります。

その他には、仕入れ税額控除のための帳簿付けをする必要がないという利点もあります。

不動産売却において簡易課税を利用する欠点について

不動産売却において簡易課税を利用する欠点は、消費税の負担額が増加する可能性もあるという点です。

実際に支払った消費税は考慮せず、みなし仕入れ率によって計算を行うためです。

また不動産売却において簡易課税を利用すると、基本的に2年間は計算方法を変更することができません。

また複数の業種で事業展開している事業者は、かえって計算する作業が煩雑になってしまう可能性があるので注意が必要です。

不動産売却における簡易課税の利用方法について

不動産売却における簡易課税を利用するには、以下の要件をクリアしなければいけません。

  • 前々年の課税売上高が5,000万円以下
  • 消費税簡易課税制度選択届出書の提出

前々年の課税売上高が5,000万円以下という要件を見てもわかるように、不動産売却における簡易課税は、小規模な事業者が利用する制度です。

また消費税簡易課税制度選択届出書は、原則新しい年度が始まる前に、税務署に提出する必要があります。

個人事業主であれば12月31日まで(ただし年末は税務署が休業するため、早めに提出する必要がある)、法人であれば新しい事業年度開始の前日までに提出します。

まとめ

不動産売却における簡易課税の利点や欠点、利用方法を解説しましたが、いかがだったでしょうか?

要件をクリアしている事業者は、ぜひ利用を検討すべきでしょう。

簡易課税を利用することで、経理における負担を減らすことができ、消費税の負担を減らせる可能性もあります。

ただ最終的には、利用によって計算が煩雑になってしまうことや、消費税の負担が増える可能性があることも加味して利用するかどうか判断しなければいけません。


その他、不動産売却に関する記事はこちら…

『【不動産売却】翌年支払う税金とすぐ支払う税金について』

『不動産売却によって発生する所得税額を少なくする為には?』

『不動産売却の確定申告を専門家に依頼するケースについて』

『不動産売却に伴う確定申告で用意すべきものとは?』

『不動産売却後は確定申告を絶対しなければいけないの?』

『不動産売却においてありがちな問題の解決方法について』

『不動産売却後も継続して住むことができるシステムとは?』

『不動産売却時、買い手から値下げを要求された場合の対処法』

『不動産売却に適した土地と適していない土地について』

『不動産売却に適した時期はいろんな角度から分析できる』

『不動産売却を中止する際、どこから違約金が発生する?』

『不動産売却で損益が大きい時の税金の金額はどうなるの?』

『もしも不動産売却で譲渡損失が生じた場合、税金はどうなる?』

『不動産売却の売却益で社会保険料は上がったりするの?』

『不動産売却の際、確定申告が必要な場合は一体どんな時?』

『不動産売却時の所得税額の計算方法について解説します』

『不動産を売却したときの所得はすべて譲渡所得なのか?』

 

こんな記事も読まれています