不動産売買契約が締結される際は、買い手から売り手に対して“手付金”が支払われます。
これは契約の解除を求める際に必要な金銭であり、買い手は支払った手付金の放棄、売り手は手付金の倍額返還をすることで、不動産売買契約を解除できます。
では不動産売買における手付金は、税金の対象になるのでしょうか?

不動産売買における手付金と税金の関係性は複雑である

不動産売買における手付金と税金の関係性は、非常に複雑です。
なぜかと言うと、買い手が放棄した手付金、返還された倍額の手付金、売り手が買い手から放棄された手付金、倍額返還をした手付金と、手付金の種類によって扱いが異なるためです。
では、それぞれの手付金がどのような扱いになるのかについて見ていきましょう。

不動産売買における手付金と税金の関係性①買い手が放棄した手付金

買い手が放棄した手付金は、そのまま売り手に渡ったままとなり、買い手に戻ってくることはありません。
この場合の手付金は、買い手の不動産所得における必要経費という扱いになります。
つまり、確定申告の際にはこの金額を引くことができるため、その分所得税の課税額は少なくなるということです。

不動産売買における手付金と税金の関係性②買い手が返還された倍額の手付金

買い手は契約を解除されることによって、支払った手付金の倍額を受け取ることができます。
この場合は、一時所得としてカウントされることになります。
一時所得は所得税の対象となるため、受け取った金額に応じて納税しなければいけません。

不動産売買における手付金と税金の関係性③売り手が買い手から放棄された手付金

売り手が買い手から放棄された手付金は、契約解除とともに売り手がそのまま受け取る形になります。
この場合も、買い手が受け取った倍額の手付金と同じく一時所得という扱いになるため、金額に応じた所得税を納める必要があります。
また不動産売買契約を締結する際、不動産仲介業者に支払った仲介手数料に関しては、“一時所得を得るために要した金銭”として認められます。
つまり、売り手は一時所得から仲介手数料の金額を引くことで、残った額に応じた所得税を支払うことができるということです。
もっと詳しく知りたい方は、以下を参考にしてください。

参考:国税庁「手付流れを受領した場合の仲介手数料」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/24.htm

不動産売買における手付金と税金の関係性④売り手が倍額返還をした手付金

売り手が倍額返還をした手付金は、売り手の都合で契約を解除する際に、買い手に対して支払い義務が発生します。
この場合は“手付金の倍額の返還”ではなく、“手付金の返還”と“手付金と同額の違約金の支払い”という扱いになります。
そして買い手に対して支払われた手付金と同額の違約金のみが、不動産所得における必要経費としてカウントできます。
ただ売り手の契約解除が、先に締結された契約よりも、より良い条件で不動産を売却するための解除だった場合、支払った違約金の扱いは異なります。
この場合は、別の買い手により良い条件で不動産を売却した際の譲渡所得における、譲渡費用として扱われます。
なぜかと言うと、先に締結された契約を解除するために必要だった違約金は、“のちに不動産を売却するために必要だった費用”と判断されるためです。
つまり契約を解除しないと、より良い条件での不動産売却は実現できないため、契約を解除するための違約金が譲渡費用として認められるというわけです。

まとめ

不動産売却における手付金と税金の関係性について、さまざまな角度から解説しましたが、いかがだったでしょうか?
不動産売却における手付金には、所得となるもの、必要経費となるものがあります。
どちらに属するかによって、確定申告時に納める税金の金額には大きな差が出ることもあるため、必ず事前に把握しておきましょう。


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